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you are my hero.

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平和島静雄は、一言で言うなら「少年漫画の主人公」だ。

俺としては、そういう認識で近づいた。

『駒』を探していた。今いる学園での生活を心地よくしてくれるもの、面白い生態をのぞかせてくれそうなもの、なるべく『長持ち』がいい。そのすべての条件を満たしていそうなのが、平和島静雄だった。今思うと、なんと言う見当違い。さすがに、当時の自分は、あきれるほどに愚かだったと認めざるをえない。

『平和島静雄に近づいてはいけない』

入学当初から、そんな風の噂を耳にした。男子生徒の間で、女子生徒の間で、教師の中、保護者の視線で。繰り返し聞かされ、耳に残らざるをえない名前。

恐れ、近づくなといいながらも、彼らの囁きの中には、共通の感情がこもっていた。

『憧れ』だ。

何故だろう、直感的に感じ取った。怖いね、嫌だね、近づきたくない、ヤバイ、おそろしい、信じられない、厄介だ、困ったものだ、そんな否定の言葉の羅列の中で、それでも、彼らの声色には明るい色がさしていた。

平和島静雄は、とにかく強い、らしい。

柔道、空手などの武術を習っていたわけではない。だが、その力は圧倒的で、跳び箱や教卓を片手で持ち上げ、放り投げることも容易で、何人もの生徒や教師や街のゴロツキが、彼の手で病院送りになった。そういう話だ。そんな彼の武勇伝を話す人々は、恐れながらも、その目撃者となったことを、どこか誇らしげに語るのだ。

上玉じゃないか。

一も二もなくそう思ってしまった。ああ、あの日の俺、バカ。

その生態を観察するにも、取り巻きにするにも、いくらでも利用価値が生まれそうだと。

実際は、平和島静雄は、破壊の悪魔でしかなかったのだが。

***

「平和島君って、いまどこにいるのかな」

折原臨也は、入学してまだ浅いある日の昼休み、ターゲットが所属する教室で、すでに自分の配下に置いた女生徒に声をかけた。女生徒は、驚きに目を見開くと、どうしたの、なにかされたの、呼び出されても無視したほうがいいわよ、先生を呼びましょうか、などと一通りの反応を示したあと、ようやく心当たりを伝えてきた。もう少し調教する必要があるな。心中でつぶやいてから、笑顔で礼をいい、示された場所へ向かう。見晴らしのいい屋上。生徒達の憩いの場としてうってつけのはずのその場所は、すでに平和島静雄の根城となり、ほかの生徒は近づきもしないらしい。
作品名:you are my hero. 作家名:さわたり