二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

つくりものの温度

INDEX|21ページ/21ページ|

前のページ
 

 彼の指が、ぼくのくちびるにふれた。あのとき、したように、ぼくのくちびるを割った。ここにはクリームもなにもなかった。なのに、白くて淡い、甘ったるい味と、そして彼の指の温度、つくりものの温度を感じる。眩暈がして、胸が痛い。彼の指が口の中を這いずりまわり、ぼくをつくりものの感覚で満たしていく。
「きみは、とても巧いから。次はきっとうまくいくよ」
 彼の指がぼくの口をざらざらとくすぐる。それは粘膜をなぜるだけで、ほかのものにすり替わらない。いつまでもつくりもののまま。
 それでいいって、おもいはじめている。現実じゃなくたって、つくりものでかまわない。
 彼のつくりものの感触に皮膚を支配されながら、つくりものの温度のことを、そればかりでぼくの頭はあふれそうにいっぱいになっている。
作品名:つくりものの温度 作家名:松**