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【DRRR】本心【臨帝】

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》臨帝

『本心』

「君って本当に鈍感だね。それに考え方が安直すぎておもしろくないよ。ねぇ、もうちょっとはその小さな脳を働かせてみたらどうなの?」

 この人に皮肉を言われるのは、もう慣れた。
 とは言っても、それが今まで面と向かって自分自身の考え方や生き様を真っ向から否定されたことのない一介の高校生が、傷つかないかと言えば、嘘になった。
 情報屋としてではなく、僕を試すことと馬鹿にすることを最近の趣味に決めたから、という理由で、折原臨也さんは僕に付き纏う。

「それじゃ、ほんとに飽きちゃうよ?せっかく君に注目してあげたのに、こんな結果じゃ今すぐ田舎に帰れと言われても文句の1つも出ないよねえ」

 僕が池袋に住んでいるのは、別にこの人を楽しませるためにでも、この人に認められためにでもない。それなのに何だろうこの言い草。
 でも、自分を全く認めてくれない人が確かにここにいるというのは悔しさに繋がる。
 僕の求める非日常を日常としているこの人に、僕にはそこへ目を向けることも許されないと言われているようで憎らしい。
 ただ、そんな思いももう随分と前に冷えてしまったように思う。

「”折原臨也に飽きられたからって、自分は高校に進学するために上京したんだから実家に帰るいわれはない。” …なんて、またつまらない言い訳でも考えてるんじゃないだろうね?…ああ、もしかしてその表情は図星なのかな?ねぇねぇ、本当に帝人くんてば」
「臨也さん」

 悦に入ったように眉を引き下げ、口を嫌味に引き上げ、そしてオーバーなほど両手を上げたその姿を無感情に見つめた。
 そしてその言葉を切って名前を呼んでみた。
 自分の長口上を繰り広げる手前で遮られたことに苛立っているのだろうか?その状態のまま首を傾げて見せる様子は、いかにも馬鹿にしている。
 言葉に力を持たせるために、少し大目に息を吸い込んで、もう1度名前を呼んだ。

「臨也さんは」
「何だい?」
「僕に飽きて、失望したくないから、毎日そんなことを言うためにここまで来てるんですか?」

 悔しさとか、ちょっとでも言い返したい見返してやりたい苛立ちとか、そんな感情を込めるのは、絶対にいけないことだと分かっていた。
 だからあえて、ほんの少し笑った。
 馬鹿にした響きにならないように、出来るだけ柔らかい声になるようにと願いながら。
 それが自分に出来うる小さな反逆であり、この人の望まない、想像上の僕を裏切る方法だと信じて。