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「 拝啓 」 (最終話)

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「なんで、どうして……」


疑問がぐるぐると頭の中を巡る
分からない、わからない
彼は一体、僕になにを残してくれたのか
“折原帝人”に、どんな思いを込めてくれたのか


どくどくと鳴る心臓
大きく息を吸って、吐いて、そして僕は、段ボール箱の封を解いた
震えた手で段ボール箱の蓋を一つずつ開けていく
そして、全てを開け終えた中に入っていたのは――




「………封…筒?」


きちんと整理されて入れられた、雪の様に白い沢山の手紙の封筒だった








そっと触れて、十通程ずつ紐で括られた封筒の束を一つ取り出した
段ボール箱の中には幾つかのそれがあり、どれもが同じ色、形、大きさをしている
何気なく一番上にある封筒を一つ取り出してみた


表面の真中辺りには、“帝人君へ”と綺麗な文字でそう綴られている
そして、その下にはもう一ヵ月程前の日付が記されていた


「どういう…こと?」


別の封筒を見る、同じ様に綴られた“帝人君へ”の文字
けれど今度は先程見た一日前の日付
他の封筒のどれにもそれぞれ違う日付がある
順々にに取り出しては見るを繰り返していき、数を数え、そして漸く僕は理解した


(全部で九十二通……それに、)


手紙は全て九十二通、そして日付は約三ヶ月前から始まっていた
そうこれは、恐らく臨也さんが離れ離れになっていた三ヶ月もの間に書いたであろう手紙
何故臨也さんはこんなにも沢山の手紙を書いたのだろうか
一番最初の日付――約三ヵ月前の日付の手紙を手にとって、まじまじと見つめた


もうあえないあの人がが残した、言葉


僕は不安や期待がごちゃまぜになった感情を抱きながら封筒の封を切る
中から折り畳まれた便箋を取り出して広げていく
かさりと音を立てて広げたそこには、小さく綺麗な文字で言葉が綴られていた




「……拝啓、」