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「 拝啓 」 (最終話)

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――ぽた、ぽた、ぽたり


いつの間にか幾つもの生温い雫が次々に便箋に落ちては、便箋に綴られた文字を滲ませていた


「……っ、いざ…やさ…っ!臨也、さん、臨也さん…っ!」


僕は声を詰まらせながら泣いた、泣いた、泣き崩れた
臨也さんは僕が不安に思っていた間も、こんなに愛してくれていた、想ってくれていたんだ


「……か、臨也さ…んの…ばか…」


抱きしめて、キスしてくれるんじゃなかったんですか
我侭を聞いてくれるんじゃなかったんですか
色んなところに行って、色んなことを話すんじゃなかったんですか


「ば、かぁ……っ」


僕は、貴方に触れたかったのに
声を聞きたかったのに
笑顔を見たかったのに


ずっとずっと、これから先も一緒にいたかった、のに


苦しいよ、悲しいよ
貴方のいない世界なんて、嫌だよ


(それでも、ぼくは)
(ぼくは)




「………ちゃん、と……生き、ます」


それでも僕は、生きます
だって貴方が生きる力をくれたから


立ち上がる力をくれたから






「…・・・臨也、さん」


(こんな僕を、愛してくれてありがとう)


便箋に一つキスを落として、僕は涙に濡れた顔で精一杯笑い、呟いた





「……僕も、臨也さんのことを」


「世界で一番、愛しています」










拝啓 大好きな臨也さん


僕はちゃんと、生きています



貴方を想いながら、今日も、元気に








「 拝啓 」

(ずっと忘れない、大切な想い人へ)



End*