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メルヘンクエスト―2章

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 『おぉ、神様!貴方様のお心遣い、感謝致しますっ。』
 いい終わるが早いか、老婆は信じられない力でスノウを引っ張り、村の中へ進んで行ってしまった。
 「ちょっと、お婆さん?!スノウ!」

 スノウが老婆に腕を引かれてからはもう、話が急展開だった。
 彼女等の後を追ってみれば、村の広場に沢山のけが人が居て、スノウは老婆他村人達に拝まれていた。
 『お願いです、魔道士様!息子の傷を治して下さい!!』
 村人達の必死さに何とかしたいのは山々だが治す術が無いと言うスノウの背後に何処かで見た事有る杖が降って来たり(ギンタ達がトラップとして片付けた空から降って来た凶器の一つ、その後他の武器もギンタ達の元に降って来た)。
 スノウが杖に触れたとたん杖に付いた赤い石が光って、気付けば倒れていた村人達の傷が治っていたり。
 『貴女様は命の恩人です!!』とスノウが元怪我人達に感謝激励されたり……気付けば、村長と名乗る初老の男の家に招待され、意識の無いアルヴィスは別室で休まされ、村の現状だとか村人が怪我した原因だとかを聞かされていた………。
 『――という訳でして、最近はもうほぼ毎日、森に棲む魔物が村へ降りて来て悪さをするのです…作物は荒らされ、家は壊され…挙句の果てに怪我人まで……我々には戦う術が無く、如何すればと途方に暮れていたのです。』
 そんな折、貴方方がこの村を訪れた…これはもう、髪の思し召しだとしか思えませぬ!!
 と村長は熱く語った。
 「要約すると、森に棲む魔物を退治して来い、って事よね。」
 咋に面倒臭いという顔をするドロシー。
 「ワイら使いッパシリかいな……まぁコレどうにかせんと話し進まへんのやろうけど。」
 『其処をどうにか!もう我らには手が無いのです…!』
 「いや、オレ等まだ何も言ってないけど…。」
 先程からこの世界の住民は人の話を聞かなさ過ぎると思う。
 「イライラするわね、コイツ等。」
 「ドロシー姐さん、怖いッスよ…。」
 「所詮作られた存在って事だろ。村人全員、目に光が無かねぇ。」
 『お願いです!勿論、お礼はさせて頂きますし、宿や食料も提供致します!どうか、どうかっ!!』
 祈るように手を組み熱く語る村長の眼は成程、覇気も熱も感じない、光を返さぬ無機質な眼だ。
 「確かに…こっちの動向と関係無しに話進めてるものね。」
 「そう言えばさっきのお婆さん、気配無かったなぁ…。」
 ギンタはこの世界で初めて会った人物を思い返す…いくら無防備だったからと言って人の気配に気付けない程、ギンタは鈍くない。
 「ね、ねぇ…考察は良いから、如何するの?村長さん、ずっと喋ってるよ。」
 この場に自分達がいなくても話し続けそうな勢いの村長の姿は薄ら寒いものがある。
 『大丈夫です、ご安心下さい。』
 ドアの音と共に聞こえたのは、聞き慣れた声。
 『我々は皆、腕に覚えがありますので、きっと貴方達の力になれるでしょう。』
 声も姿も、確かに自分達が知る彼の物なのに……。
 『魔物退治、お引受けします。』
 目の前の彼から感じる、壮絶な違和感。
 ギンタ達6人の視線を釘付けにしているアルヴィスが、村長の方を見ていた顔を此方に向ける…。
 『困っている者は助けねば。行きましょう、勇者殿。』
 慈悲深い笑みを浮かべた彼の瞳の、何と無機質な事……。
 違和感の正体を悟り、背筋が凍る思いがした。



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