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SSS×3本

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※SSSが三本収納されています



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ある晴れた日のこと
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「え、なんで!」

昼休みの喧騒に水谷の声が7組の教室に響き渡る。机2つを分け合う四人は野球部主将の花井と副主将の阿部と栄口、そしていつも主将会議に参加している水谷だった。
各々持参した弁当を広げ行われるその会議で栄口の前に、姉のお下がりだというピンクの弁当箱を2つ並べて座っていた水谷が、ガタンと大きな音を立てて椅子から立ち上がる。

「そんなの聞いて無い!」
「そりゃそうだろ栄口だって今言ったんだもんなぁ?」
「うん」
「……とにかく座れ、水谷」

張り上げた声に反比例するように泣きそうな顔をしている水谷を見上げる面々は、様々な表情を浮かべながらも根底には一様な感情を持っていた。
面倒くさい。
それを惜しげもなく表に出している阿部、困ったなぁと眉を下げる栄口、眉間に皺を寄せた花井は盛大にため息をついた。
花井の言葉に静かに腰を下ろした水谷はそれまで握っていた弁当箱と揃いのピンクの箸を置いて、げんなりと項垂れた。
聞いて無いよ、そんなの。
尚も小さくこぼれた呟きに、一同は盛大にため息をついた。

「あのなぁ、仕方ねぇだろ。俺たちは野球部員である前にこの学校の生徒なんだよ。どんなに馬鹿だろうがお前だってこの学校の生徒だ、違うか馬鹿レフト」
「阿部…」
「馬鹿に馬鹿って言って何が悪いよ」

ずず、と阿部が啜る紙パックのコーヒーは昼休みの始まりと同時に水谷に買いに走らせたものだ。中身がなくなったそれを握り潰しながら憮然とした態度で言い放った阿部に、栄口がちょっとちゃんと潰しなよと和やかな突っ込みを入れると阿部は静かに握り潰したそれを膨らませ丁寧にパックを潰していく。
そんなこと気にしてる場合じゃないだろうと思う花井と水谷は、同じことを思いながらもその胸中には大きな違いが見られた。

「大体なんで水谷はこれから栄口が30分ちょい部活に来るのが遅れるくらいでそんなに取り乱すんだよ」
作品名:SSS×3本 作家名:東雲