相反する存在
「こんばんわ、化け物」
「・・・・こんばんわ」
東京の池袋のネオンといえど、闇は存在する。その闇の中をひっそりと歩いて池袋のパトロールをしていた杏里を留めたのは、
闇の権化と言われてもおかしくない男、折原臨也だった。
杏里は感情のない瞳で臨也を見つめていたが、臨也が動きを見せればすぐにでも斬りに掛かるよう体勢を取る。
臨也はそんな杏里に胡散臭い笑みを浮かべると、カチャリと音を響かせナイフを突きつける。
その間合いはギリギリ罪歌の届かない距離で杏里は奥歯を噛み締めた。
「ねぇ、お前さ。帝人君に何をったの?」
「・・・唐突ですね」
杏里は足をゆっくりと前へと移動し、間合いを詰めようとする。臨也はそんな杏里の考えを理解しているのか、
杏里が詰めた間合い分だけ後ろに下がる。
「唐突?くっ、はははは!シラをきる気?本当にむかつく化け物だよね!」
人を見下すような笑みを貼り付け、その瞳はギラギラと怒りと憎しみが燃え上がっていた。
ナイフはずっと杏里へとかざされ、外れることはない。
杏里はそんな臨也に目を細めると、己の中にある罪歌に声を掛けた。
罪歌はこの男を嫌っている。それはこの妖刀にはあるまじき事。けれどこの妖刀は臨也を拒絶し、切ることを拒んだ。
それでも杏里は罪歌に命を出す。斬れ、と。
すぅっと自分が自分ではない感覚に襲われる。きっと周りの人間から見たら杏里の瞳は赤く底光りしているに違いない。
「・・・私はただ竜ヶ峰君を守りたいだけ。だから、貴方は危険です。貴方は竜ヶ峰君を危険にさらす」
カチャリと刀を煌めかせ、杏里は罪歌を構えた。
そんな杏里に臨也は笑みを深くする。その笑みはしかし、慈愛に満ちた物でも歓喜を表した物でもない。
人を見下し貶め、嘲笑う笑みだった。
「・・・・こんばんわ」
東京の池袋のネオンといえど、闇は存在する。その闇の中をひっそりと歩いて池袋のパトロールをしていた杏里を留めたのは、
闇の権化と言われてもおかしくない男、折原臨也だった。
杏里は感情のない瞳で臨也を見つめていたが、臨也が動きを見せればすぐにでも斬りに掛かるよう体勢を取る。
臨也はそんな杏里に胡散臭い笑みを浮かべると、カチャリと音を響かせナイフを突きつける。
その間合いはギリギリ罪歌の届かない距離で杏里は奥歯を噛み締めた。
「ねぇ、お前さ。帝人君に何をったの?」
「・・・唐突ですね」
杏里は足をゆっくりと前へと移動し、間合いを詰めようとする。臨也はそんな杏里の考えを理解しているのか、
杏里が詰めた間合い分だけ後ろに下がる。
「唐突?くっ、はははは!シラをきる気?本当にむかつく化け物だよね!」
人を見下すような笑みを貼り付け、その瞳はギラギラと怒りと憎しみが燃え上がっていた。
ナイフはずっと杏里へとかざされ、外れることはない。
杏里はそんな臨也に目を細めると、己の中にある罪歌に声を掛けた。
罪歌はこの男を嫌っている。それはこの妖刀にはあるまじき事。けれどこの妖刀は臨也を拒絶し、切ることを拒んだ。
それでも杏里は罪歌に命を出す。斬れ、と。
すぅっと自分が自分ではない感覚に襲われる。きっと周りの人間から見たら杏里の瞳は赤く底光りしているに違いない。
「・・・私はただ竜ヶ峰君を守りたいだけ。だから、貴方は危険です。貴方は竜ヶ峰君を危険にさらす」
カチャリと刀を煌めかせ、杏里は罪歌を構えた。
そんな杏里に臨也は笑みを深くする。その笑みはしかし、慈愛に満ちた物でも歓喜を表した物でもない。
人を見下し貶め、嘲笑う笑みだった。