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ファルクラム
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東方で走り屋小説 第一話『下り最速の巫女』

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落胆する彼女の横に、もう一人の天狗の少女が寄ってくる。
白狼天狗の少女、椛だ。
「まぁ気を落とさないで下さい、文様。」
「うぅ、ハンカチありがとう、椛。」
「いえいえ。」
文は涙を拭き終わると、すっくと立ち上がりインプレッサの横にもたれかかった。
「しっかし、霊夢さんは良いウデ持ってるよ、椛。あのエボを打ち負かすとはね・・・。」
「え、あのランエボの人たち、そんなにすごい人なんですか?」
「ライトニングラビッツナンバー3の通称“狂気の白いエボ5”。天性のドライバーこと因幡てゐと完璧なる状況把握者、鈴仙・優曇華院・イナバの二人組よ。向こうでは負け知らず。」
「どおりであんなに態度が大きいんですね・・・。」
「ん?何かあったの、椛。」
「いや、こないだ偶然会った時に文様のインプと私のレガシィをバカにされたもんで。なんか 『三菱以外の4WDは脅威ですらない』とか」
「あはは、なかなか言ってくれるじゃないの。慧音と戦わせてみたいものね♪」
「あぁ、あのお方はGTOに乗ってましたからね。」
「どう?三菱の4WD同士のバトルが見られる珍しい機会になるわよ?」
「確かに面白そうですけどね。」
「じゃぁ決まり!!明日にでも慧音に話を通してみるよーっ!」
「え゛、本気ですか?」
「本気も本気!それじゃ帰るわよ、椛!」
「わわ、待って下さい文様!!」




〜5連ヘアピン〜

バトルが終わって数十分後。
たくさんいたギャラリーはほとんどがどこかへ散り、閑散としていた。
が、2台のランエボがまだ残っていた。
一台は2人組のエボ5、もう一台は永琳の黒いエボ4だ。

「貴女達、あの巫女がどうやってココを切り抜けたと思う?」
「どうやって、って分かりませんよ・・・」
「・・・コレを使ったのよ、あの巫女は」
全てを悟ったかのごとく永琳が地面を指差す。
「コレって・・・排水用の溝、ですか?」
「霊夢はこの溝にタイヤを引っ掛けて走ったのよ。あくまで推測に過ぎないけど」
「でもお師匠様、あのスピードでこの大きさの溝にタイヤを引っ掛けるなんて・・・」
「これほどにアレが速いとは、私が出ないといけないみたいね・・・。予想外だわ」
「ですが、あの巫女はかなりのウデを・・・」
「問題は無いわ・・・エボの真の力、見せ付けてあげましょう」
不敵な笑みを浮かべ、永琳は自らのエボに乗り込んだ。










〜翌日 博麗神社〜

『ゴアウッ、ゴアァァァァァァァン!!』
朝の静寂をぶち壊す直6ツインターボの轟音。
魔理沙の愛車、スカイラインGT-Rだ。
「おーい、霊夢居るかー?」
「・・・ちょっと魔理沙、朝っぱらからうるさいわよ」
「何言ってんだよ、この直6のサウンドこそがGT-Rのパワーの源で・・・」
「はいはい、そんな事はどうでもいいの。・・・で、何か用?」
魔理沙は軒下に腰掛け、自信満々で言った。
「特に無いZE☆」
「・・・アンタねぇ」
霊夢が呆れ顔で答える。
「まぁ冗談はおいといて・・・昨日戦ったエボは霊夢から見てどんな感じだったか?」
「んー?別に、私は勝ったとは思ってないわよ・・・地元だしね」
「謙遜はらしくないぜ霊夢!・・・それより、どんな走りだったんだ?」
「・・・なんて言うか気持ち悪い走り方する車だったわね。ドリフトしてるんだけど滑ってる感じがしないって言うか。・・・4WDってそんなもんなの?」
「確かにランエボはヘンな曲がり方するよなぁ。詳しくは知らないけどな☆」
「アンタも4WD乗りじゃないの・・・」
「まぁそうだけどな。ところで霊夢、気晴らしににとりの店にでも行かないか?」
「にとりの?別にいいけど、あんまりお金はないわよ?」
「顔出しに行くだけでいいじゃないか。行こうZE?」
「まぁいいわ、付き合うわよ。」
「んじゃ決まりだ、行こうぜ!!」



〜カーショップ「キューカンバー」〜

妖怪の山のふもとにあるカー&パーツショップ。
河童の店主の好物なのだろうか、その名も「キューカンバー」。
香霖堂と並ぶ、幻想郷2大カーショップの一つだ。

「よぉにとりーっ、開いてるかー?」

魔理沙が呼ぶと、ジャッキアップされた車の下からオイルまみれの彼女が出てきた。
右手にスパナ、左手にボルト。腰には工具ベルトが巻かれている。

「いらっしゃいませー、開いてますよー・・・あら、魔理沙さんじゃないですか♪」
「今日は霊夢も付いて来てるけどな。何かいいパーツ入ったか?」
「んー、・・・今のところは入荷してないね。なんか希望の物があったらお取り寄せできるよ?なんなら私が作ってもいいけど?」
「そうか、オーダーメイドもありだな・・・でも高いんだろ?」
「モノによりますけど、お安くしますよ!」
「よし、考えとくZE☆」


魔理沙とにとりが会話している間、霊夢はガレージにいた。
彼女の目線の先には、綺麗に磨き上げられた一台の赤い車・・・。
「S12型シルビア2000ターボRS-X?しかも空冷インタークーラー搭載型・・・」
この時、霊夢は妙な感覚にとらわれていた。
初めて見たはずなのに、何故か長年連れ添った相棒のように感じる。
この感覚は一体何なのか、霊夢本人すら・・・分からなかった。

「霊夢さ〜ん、そんな所で何を?」
「・・・にとり。いきなりだけど、この車って?」
「あ〜、残念だけど売り物じゃないよ。預かってるんだ。」
その言葉を聞いた霊夢は、にとりにずいっと身を寄せる。
「預かってる・・・誰から?」
「幽香さんからですけど・・・どうしたんですかいきなり??」
「妙な“何か”を感じるのよ・・・この車からね。」

にとりよりちょっと送れて魔理沙がやってきた。
「霊夢、こんな所にいたのか・・・どうしたんだそんな焦って?」
「ちょっと出かけてくる。先に帰ってて」
「おい、ちょちょちょ霊夢!!」

『キュルル・・ブン・・・ドドドドドドドド』
「霊夢、待てって!!」
『カァァァァァァァアアァァァァァァッ・・・』
魔理沙の呼びかけも空しく、霊夢のシルビアは視界から消えていった。
「ったく・・・何なんだZE・・・」



〜太陽の畑〜

夏真っ盛りな幻想郷。
ここ、太陽の畑も今の時期はひまわりで埋め尽くされている。
その大量のひまわりの横に、一台の車が。
眩しい黄色で塗装されたZ32型フェアレディZツインターボ。
そしてそのドライバー、風見幽香もそこにいた。

「・・・誰かと思えばいつぞやの巫女じゃない・・・私に何か用?」
「にとりの店のS12、貴女が預けたって聞いたけど」
霊夢のセリフを聞き、幽香がほくそ笑む。
「私のマシンじゃないわよ・・・預かり物。何かあったのかしら?」
「あの車から妙な何かを感じるのよ。貴女なら、何か知ってると思ったけど」
その言葉に、幽香は口角を吊り上げる。
「知ってるって言ったら・・・どうする?」
「どんな手を使ってでも聞き出すわ・・・異変に繋がったりすると困るから」
「・・・ッハハハハハハ!!いいわ霊夢、私に勝てたら教えてあげる」
「望むところよ、幽香!」



(フフ・・・そうこなくっちゃ。霊夢らしくないわ!)
(最近強い相手とも戦ってなかったし・・・いいリハビリにもなりそうね)