二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
ファルクラム
ファルクラム
novelistID. 16674
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

東方で走り屋小説 第一話『下り最速の巫女』

INDEX|2ページ/4ページ|

次のページ前のページ
 

「てゐ、次はキツめの右カーブ、思いっきり斬り込んで!!」
「OK!!」
「その次は浅い左!フェイントモーションかけて行くよ!!」
手馴れた動きで難関のS字を軽くパスするエボ。
その後を、霊夢のシルビアはワンテンポ遅れて付いて来る。
「っ、速い!流石にハイパワー4WDは侮れないわね・・・」
コーナーでは互角以上に持っていけるが、少しずつ差が開いていく。
やはり、ストレートでの馬力差は否めない。
・・・が。
霊夢の本気は、こんなモノでは無かった。


「やっぱりエボは最高ね!!4WDの欠点である旋回性能の低さはAYCでカバー、低回転から中回転にかけてパワーを発揮する峠にピッタリのエンジン!!エボ以上に峠を攻め込めるクルマは無いわ!!って・・・ちょっと、どうしたの鈴仙?」
「―あの巫女のシルビアが少しずつ近づいて来てる・・・」
「そんなハズ無いじゃない、鈴仙。FRマシンなんかがエボに付いて来れる訳・・・」
コーナーを一個一個抜ける度に近づいて来るシルビアのヘッドライト。
「・・・冗談っ!ストレートではこっちが速いのに・・・。差を詰められてるって事は私達が下手クソだって証明されてるような物だよ!!」
「てゐ、落ち着いて!!今は目の前のコーナーをキレイにパスする事を考えて!」
ビハインド・プレッシャーのせいか、てゐのペースが乱れて行く。
『がきゅっ!』
「!?」
エボのリアバンパーがガードレールにこする。
「てゐ!!」
「分かってる・・・。分かってるから・・・っ!!」
焦りが出てきたのか、マシンの挙動は乱れる一方だ。
無駄にオーバーアングルなドリフトや、ガードレールに接触する回数が増えてきた。
それでも、やはりストレートでの鬼の様な加速は変わらない。

「ペースが乱れてもこの速さ・・・。口で言うだけのウデはあるわね?」
(まぁ・・・実際はエボの性能におんぶされてるだけだと思うけど・・・)
コーナーで追い詰めて、ストレートで離される。
いい加減この状況がイヤになったのか、霊夢がボソッとつぶやく。

「しょがないわね・・・アレでもやるかしら」

某とうふ屋のせがれの様な表情を浮かべ、霊夢はアクセルをさらに踏み込んだ。



〜中腹部 5連ヘアピンカーブ〜

この峠の最大の見所、5連ヘアピン。
普通のコーナーよりもハデなドリフトが見られるとあって、ギャラリーで一杯だ。
その中の一人の女性が誰かと連絡を取っていた。
『ライトニングラビッツ』ナンバー2の凄腕、八意永琳である。
チームきっての頭脳派で、クルマの動きを見ただけでそのクルマの性能が分かるほど。
「こちら5連ヘアピン、因幡達のエボと巫女のシルビアが見えました。」
道路の向こう側が明るく光る。2台のヘッドライトだ。
「・・・意外に差は開いてませんね。ですが、どうにか勝てそうですよ?」
コーナーに進入するため、減速してアウトに寄るエボ。
無論、シルビアもそうするはず・・・が。
減速の素振りも何も見せず、ベッタベタのインから進入してきたではないか。
「インからですって?何をするつもりなの、あのシルビア!!ヘアピンなのに減速しない・・・!?」
そのままのスピードでコーナーに滑り込もうとするシルビア。
「シルビアがとんでもないスピードで突っ込んでく・・・!!ブレーキでもイカれたの!?」
・・・オーバースピードで車が制御できず、そのまま谷底へ転落。
誰もがそんな結末を予測したその瞬間。

『ガァァァァァァッ!!!』

真紅のシルビアは、インギリギリをあたかもジェットコースターのように走り抜けた。

「・・・・・・」
気が付けば、2台の立場は逆転していた。
「・・・い、因幡達が抜かれた・・・。あっけなく、インからスパーンと・・・。」

その場にいた人間のほとんどは、目の前の光景が信じられなかっただろう。
本来、クルマはタイヤのグリップ力を超えるスピードで曲がることはまず不可能だ。
それを、霊夢はやってのけた。
「何が起こった!?」
「・・・今の何だ?」

ギャラリーたちがざわついているその横に驚きもせず突っ立っている人物が。
「霊夢もずいぶんと無茶するわね・・・。でも、まだ私ほどの走りはしてないわ。」
夜だというのに日傘を持ち、狐と猫の式神と共に現れた女性。
境界を操る妖怪、八雲紫である。
「いい藍、本当に巧いドライバーはその身にオーラを纏うわ。私にはそのオーラが見えた もの。・・・貴女も、他の人のオーラが見えるくらいのウデを持ちなさいよ?」
「はい、紫様!」
「・・・じゃぁ藍、橙、帰るわよ。」
『キュキュキュ、ゴアァァァァァッ!!』
その名に違わぬ紫のNSXに乗り込み、軽くスピンターンして走り去る紫。
『シュイィィィィィィィィィィ!!』
ホンダのノンターボエンジン特有の、カン高い排気音が峠にこだました。



〜中腹部〜

「ねぇ鈴仙、何だったの・・・今の」
「私にも分からないわ・・・」
散々シルビアをバカにした二人だが、圧倒的な技量の差にド肝を抜かれたようだ。
「あんなのクルマの動きじゃないよ・・・。」
「ちょっとてゐ、ちゃんと運転しなさいよ!まだ負けが決まったわけじゃないのよ!!」
そうこう喋っている間にも、前を走るシルビアとの差はどんどん開いていく。
「・・・っ、私たちのエボがあんなノンターボ車に負けるなんて!!」
その時、後方からものすごい勢いで迫ってくる漆黒のクルマが。
「!?・・・待って、てゐ。後ろからすごい速いのが一台来る・・・何者!?」
『コァァァァァァァァァァッ!』
比較的静かな排気音の4ドアセダン。
リアにはAMGのエンブレムが輝いている。
そのクルマはエボをひらりと追い越し、シルビアを追いかけていく。
「E55って・・・あれもノンターボのFRマシンじゃないの!!」
「・・・このエリアの実力を、私たちは完全にナメきってたみたいね」



「最近のクルマは大出力のターボ付きエンジンだか4WDだか、そんなのに頼ってるからドライバーの技量が落ちていくんですよ・・・。そう思いませんか、お嬢様?」
「一応私もその大出力ターボ付きの4WDに乗っているんですけど、咲夜?」
「っと、失礼しましたお嬢様。」
「むぅ・・・、まぁとりあえず、巫女を軽く抜いてそのまま紅魔館に直行ね。」
「・・・お嬢様、非常に残念ですが今日はここまでです。」
「なんでよ、咲夜?」
「ガソリンが尽きかけです。そろそろ給油所に立ち寄らないと・・・」
「こういう事になる前にガソリンぐらい入れときなさい!!」



「なんだったのかしら、あのベンツ・・・?」
一方、霊夢はいきなり乱入していきなり給油所に入っていったE55が気になったらしい。まぁ、それが普通の反応だろう。
「・・・まぁいいわ、今日はこのまま帰ろうかしら。」



〜ふもと ゴール地点〜

まるで闇に溶け込むような漆黒のインプレッサの前で、烏天狗の少女がレースの勝者にインタビューを試みようとしていた・・・が。

「すいません、ちょっとインタビュー・・・」
『カアァァァァァァァァァァッ!!!』

あっさり、通過されてしまった。
「・・・少しくらい、いいじゃないですか・・・。」