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好物=甘いもの

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文字で出されて逆に良く分からなくなった。
どうやら、読みにくいというか、仰々しい名前のようだ。

だが、セルティの友人だということは分かった。

助け舟を出された竜ヶ峰は少しほっとした様子で、セルティとPADを見比べながらお互いにうんうんとうなづいている。
なんだか二人とも「友人」という言葉に感動しているような、照れているような…
ちっ、二人してうれしそうな顔しやがってむかつく。


むかつく?ってなんだこれ

というかあそこの眼鏡女子は前にセルティと二人で助けたことがあった気がするが、この少年とセルティはどういったつながりなんだろうか。

「へえ、そうなのか。てか、お前らってどうやって仲良くなったんだ?」
「えっ!」

接点が見当たらないと思ってつい口に出してしまったが、二人の様子が目に見えておかしくなった。
なんだ、聞いてはマズイことだったのだろうか。

「悪ぃ、言いにくいことなら無理には聞かねぇが…」
「そ、そんなことないですよ!!」

二人しておろおろしていたようだが、竜ヶ峰が何か決心したかのように、
じっと俺をみる。いや、俺とセルティを交互に見ている。

「ええと、それはですねっ」
『帝人とは、そ、その』
「だ、」
『ダラーズ…?』
「だ、ダラーズの掲示板で、気が合って…」
『その、オフで会う約束をして』
「実際に会ってみたら、意気投合して…」

「『仲良くなった』」(ハモリ)

「んです、そうです!はい!」



…なんだその共同作業は。
セルティと竜ヶ峰は少し興奮した様子でお互いを見比べながらうんうんとうなづいている。二人ともすごい事を成し得たかのごとく興奮気味に喜んでいる。


んだよ、超仲良しじゃねーか。
むかつく、というかうらやましいと言ったほうが正しいのか、
考えることが面倒になったのでとりあえず思ったことを口に出した。

「あー、お前はセルティの友達なんだろ?俺もそうだ。つまりお前と俺も友人でいいだろ」
「えっ?は、はいっ」

ちょっと強引過ぎたかと思ったがまんざらでもなさそうだ。
少々強引だったとしてももう一度自分を呼ぶ声が聞きたかった。


というか、竜ヶ峰なんか目とかキラキラしてないか?
ていうか目がでけえ!でけえ!

大きく見開いた目から目玉が落ちるんじゃないかと思い、手の平で受け止めようと思わず手を差し出してしまった。

「あー…、だから友人なら名前で呼べってんだよ、遠慮すんな」
「うれしいですっ。じゃあ、し、静雄さんって呼ばせてもらいますね!」
「……おう、そうしろ」

こんな風に憧れと希望というか期待のこもった目で見られたことはないのでなんとも気恥ずかしくなった。


「んで、何だっけ?」
「あ!そうでした、追加のお鍋煮えたので、よそいますね!静雄さん!」


そういって、竜ヶ峰帝人はうれしそうに鍋の具を小鉢によそっていた。

うん、やっぱり

こいつの声は、耳に甘い。

作品名:好物=甘いもの 作家名:しば