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School Days 4月 side門田

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School Days
Side Kadota Kyohei

 四月

「じゃあ文化祭実行委員は門田君でいいですかー」

 少し遅い委員決め。序盤で選ばれた委員長が教室の前に出て色々仕切り、委員名を黒板に羅列する。一年、二年と別の委員会に入ってたから、今年も何か別の委員会に入ろうと思ったのはただの気まぐれだ。
 何気なく文化祭実行委員という文字に本能的に興味がひかれたのか分からないが、気付けば手を挙げていて、周りに手を挙げるヤツがいなかったから俺はそのまま文化祭実行委員として一年間過ごすことになった。
 委員長が他に立候補する人はいないか聞く。大抵このような委員会というものは二人か三人必要になる。俺の横の席の奴が手を挙げたのが見えた。

「はーい。僕じゃないんだけど、平和島君がいいと思いまーす」
「え・・・・・・へ、平和島君・・・・・・?」

 横の席の奴、岸谷新羅は何を考えているのか裏の読めない笑顔で挙げた腕を軽く振っている。周りの席の奴らは普段よりも大きく目を開いて新羅を見た。

「どうせ今居ないし、早く決めちゃった方がいいよ?」
「いや、平和島君本人に聞いてみないと・・・・・・」
「大丈夫だって。それに心強いストッパーである門田京平君が一緒なんだから」
「そういうことか、岸谷」

 思わず口に出してしまう。なるほど、とクラスの奴らは納得し委員長とは別の奴がじゃあ門田と平和島が文化祭実行委員で決定―と言うとパラパラと拍手で沸き起こった。委員長は若干震えながらも黒板に『門田』の文字の下に『平和島』と書く。震えているせいで文字が『門田』ほど綺麗ではないが。
 そこに教室でドアが勢い良く開く音がした。後ろを向くと、うっすらと砂埃の付いた制服を身に纏う平和島静雄の姿があった。戦闘後なのか、少し気が立っているようだった。口から臨也殺す臨也殺す、の呪文が止まらない。
 春先なのに氷点下まで温度が下がった教室の中を静雄は自分の席に着こうとゆっくり歩く。が、足を止めて緩慢な動きで顔を上げて周りの様子を窺う。静雄は机に凍り付いて動かない生徒の中から新羅と門田を見つけるとその場に佇んだまま二人に質問する。

「なぁ新羅、門田。俺ここの教室であってんのか?」
「あぁ。そういえば静雄、今学期初登校だね!三年昇格おめでとう!」
「そんな大そうなもんじゃねーよ。どうやってここの教室来たんだ?」
「なんとなく。そういえば今日から三年だな、と思って」
「スゴイ野生の勘だね。この教室で合ってるよー。席はココ」

 何故かクラスの委員会決めや、様々な役割分担よりも早く席替えが行われた我がクラス。学生の日常生活の中で色々なきっかけを生み出す席替えは何よりも早く奨励された。
 新羅は門田の後ろの席を指す。静雄は再び歩き始め新たな自分の席に着く。
 軽く黒板を見て委員会決めをしていることが分かったようであった。

「あ、静雄。お前、俺と一緒の委員になったぞ」
「は?何の?」
「文化祭実行委員」
「ふーん。まぁどこでもいいけどよ」

氷点下まで下がっていた教室の温度は再び景色に似合う温度まで上昇した。クラスの面々の表情が朗らかになる。ありがとう、門田。お前は神だ、と聞こえてくるのは幻聴ではなさそうだ。

「あーそういえば静雄知ってる?」
「何をだ?」
「えーとね、静雄にとっては至極残念な事なんだけどさ」
「おう」

 新羅が静雄にとっても、クラスにとっても重大な事実を述べようとしたときに再び教室のドアが音を立てて開く。入ってきた人物を見て、青筋を浮かべ戦闘態勢になる静雄。前の席に座っていた門田は軽く溜め息を吐き、片手で頭を抱える。

「何でお前が入ってくんだぁ?臨也・・・・・・」
「おはよう、シズちゃん。朝から激しい運動だったね。だから細っこいんじゃない?」
「・・・・・・アレはお前のせいか。そうだよな、お前しかいねぇな。よし殺す。とりあえずこの教室から出ろ」
「静雄、臨也も同じクラスなんだって。ちなみに席はココね」

 新羅は自分の後ろの席を指す。
 つまり、門田の後ろの席である静雄。新羅の後ろの席である臨也。門田を新羅は隣の席なので静雄と臨也も隣の席になるというわけだ。
 さすがにこの状態の地図が黒板に描かれたとき、生徒の大半は再度席替えを求めたが担任教師がそれを却下した。
 静雄からプチと何かが切れたような音が聞こえたと思うと、静雄は自分の席の横の机。つまり臨也の席の象徴である机を片手で軽々と持ち上げるとそれを持ち主に向かって投げつける。
 持ち主である彼はそれを軽々と避け、入ってきた扉に再度手を掛ける。

「シズちゃん、後でどっか別の教室から俺の分の机もらって来てよね」
「何で俺がやんねぇといけねぇんだよ」
「そんなことも分かんないの?ほんと残念な頭してるよね、シズちゃん。常識って何か知ってる?あぁ、ごめんね。そんな残念な頭じゃ常識なんて言葉の意味や内容を頭に叩き込む余地がないんだったね。俺としたことがそんなこと見逃してたよ。俺が常識というものを教えてあげようか?こういう場合、被害者である俺に加害者であるシズちゃんは机を持ってきた上で深く、身体が地面にめり込むぐらい土下座して、その後首を吊って自殺するんだよ」
「いいぃぃぃぃざあぁぁぁぁやあぁぁぁぁぁーーーてめぇぇぇ」

残っていた椅子を片手に臨也に向かって駆け出す静雄。笑いながら教室から出て行く臨也。気がつけば俺と新羅以外の生徒は静雄と臨也の二人によって出来る危険ラインから最も離れた場所で固まっていた。
新羅は軽く笑って口にする。

「ほんと仲悪いよねー」
「あぁ・・・・・・」

 破壊音が響く校内。慣れてしまったせいか、これが日常じゃないかと感じる自分が少し残念に思えてくる。教室が少しざわつき出したとき、静雄や臨也が空けた後ろ側のドアではなく、前側のドアが開いた。
 前側の扉の前には生徒が固まっていて、入ってきた人物の姿がすぐに特定できなかったが、数秒後にその人物は俺や新羅に視認出来る場所にやってきた。

「門田。岸谷。平和島と折原を止めてきてくれ」
「えぇー、何で僕が・・・・・・これ以上かすり傷増やすとセルティが心配しちゃうよ」
「かすり傷程度で済んでんならいいだろ。ほら、行くぞ」
「門田までー・・・・・・。本心言うと面倒だから嫌なんだけど」
「じゃあ静雄を委員に推薦した責任者と思って動け」
「ちょっと理不尽じゃない!?」
「助かるよ。二人とも!」

 担任教師はきっと冷や汗を流しっぱなしだったに違いない。
 心底嫌そうな顔をする新羅の腕を引っ張って教室を出る。前途多難だよ、と新羅が小さく呟くのが聞こえた。

 激しい音の聞こえる方が昇降口に近くなってきている様で、少し足早にそこへ向かう。
 昇降口についてすぐ、ある異変に気付いた。

「門田、あそこ見て。一個靴箱ないよ」
「あれ・・・・・二年か?不憫だな」
「もはや災害だよね」

 思わず苦笑する。あとで二人に靴を回収させることにしよう。また喧嘩が起きないように諫めながらではあるが。二人が知り合いになるきっかけを生んだらしい新羅にも当然その義務はあるな、と一人思案する。
作品名:School Days 4月 side門田 作家名:大奈 朱鳥