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School Days 4月 side門田

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 靴を履き替える手間や時間も惜しかったため上靴のまま外に出た。

「いざやああぁぁぁ!てめぇ、何で一緒のクラスになってんだよ!?」
「知らないよ、俺だってシズちゃんと一緒のクラスとかほんとごめんなんだけど」
「俺のほうがてめぇより何千万倍と嫌なんだよ!!」
「今年の担任の教師は新任だったんじゃない?俺たちを一緒にするなんてほんと最低だね。馬鹿とかじゃ済まされないよ」
「それはこっちのセリフだ。ノミ蟲が!」

 外から校舎を見ると窓に群がるのはおそらく一年だろう。まだ目新しい光景に驚きと恐怖を隠せてないように見える。
 静雄を見ると片手にはベンチを持ち上げていた。これ以上色々破壊させないためにも先程よりも急ぎ足で二人に駆け寄る。

「そろそろ止めろ、静雄」
「・・・・・・門田」
「臨也も静雄を挑発しないでよね。迷惑するのこっちなんだから」
「俺じゃないし。シズちゃんだからね、全部やってるの」
「原因はお前だ。臨也。お前が大人しくしてたら静雄は何にもしねぇだろうが」
「えー、全部俺が悪いわけー!?」
「私を含めて大半の人がほぼ間違いなくそうだと思ってると思うけどな」
「ほら、教室戻るぞ。静雄、臨也」
「・・・・・・ありがとな。門田」
「おう」
「静雄、僕にはないの!?」
「あぁ・・・・・・ついでにありがとな。新羅」
「・・・・・・門田。俺、もう二度と付いて行かない」
「そう言うなって」
「戻んないのー!?そこの二人と一匹」

 再び火花を散らそうとする二人を残った二人が必死に抑える。
 静雄は手にしていたベンチを元の場所に戻し、臨也はベンチの上から下りると、そのまま四人は自分達の教室へ帰って行った。
 そして放課後また四人が昇降口付近に現れ、飛んでいった靴や靴箱を回収している姿を来神高校生徒の多くが目にすることになる


 靴の回収を終えた門田はいつもより随分遅めに図書室に入った。顔見知りになった図書委員の生徒が門田を見て声を掛ける。

「門田君、今日は遅かったね。何かあったの?」
「いや、ちょっとな」
「また平和島静雄とか、そういう系?よく付き合ってられるねー。あたし怖くって」
「アイツ基本的いい奴なんだけどな。臨也が何もしなかったら」
「折原君も噂に聞くけど、イケメンだね!彼!」
「・・・・・・そうだな」

 短い会話を終え、図書室の奥へと移動する。彼は二年次に図書委員であり、一年次も図書委員ではないが頻繁に図書室に出入りしてたためこの部屋の構造はよく熟知している。
 彼が一年のときに知り合った先輩から半ば強制的に借りることになった本が中々面白く、その話をしていたらまだ数十冊ではあるがそのシリーズの本、電撃文庫が図書室に入荷されるようになって少し嬉しかったのはまだ新しい思い出である。堅苦しい伝記や小説を読むより、こういったライトノベルの方が現代の高校生には好まれる。その方が図書室利用者も増えるだろうと話した記憶が蘇る。
 奥に進み前の続きを借りようと、電撃文庫が置かれている棚に近づくといつもとは違う光景が目に入った。
―――――・・・・・・一年か?この時期から図書室か。熱心だな。
門田は少し離れた場所から自分の目的地の前でニコニコと笑顔を浮かべながら本を数冊取り嬉しそうな生徒の姿を見て、ほんの少し顔を綻ばせる。
 本を抱えた彼女は図書室の椅子に座り手に取った本を読み始めた。自分も何か読もうと思って彼女が離れた本棚に近づく。本が無くなったスペースには当然ながら隙間があって、それがなんとなく誇らしい。今度、電撃文庫をもう少し入れてくれるように頼んでみようと、心の中で決意する門田。
 門田は適当に一冊選ぶと先程の女子生徒と少し距離を置いて座る。閉館間際になると彼女は読み終わったらしい本を本棚に戻し、また数冊手に取るとカウンターに向かい借り出し手続きを済ませて図書室を出た。彼も自分の読んでいた本を本棚に戻し、カウンターに近づく。

「あれ、今日は借りてかないの?」
「あぁ。さっきの生徒、電撃文庫借りていっただろ?」
「うん。見てたの?やっぱり最近の高校生はこういう風の方が読みやすいんだよね。あたしは純日本文学派だけどさ」
「・・・・・・なんか、見た目に合ってないよな」
「なにそれッ!?失礼!!」
「悪い、悪い。それで、今年の図書委員担当の教師にさ、電撃文庫増やすように言っといてくれよ」
「うーん、分かった。門田君が言ってたって言ったら先生も分かってくれると思うよ」
「助かる。ありがとな」
「いえいえ。人徳でしょう」

 それからくだらない会話をした後、図書室を出て自宅に向かった。

 彼を大きく変えることになる最後の高校生活が幕を開けた。
作品名:School Days 4月 side門田 作家名:大奈 朱鳥