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黒猫のデルタ

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キャットタワーも、買い込んだ餌も、猫砂もトイレもなんにもない。確かに俺のカードで帝人君が買ったはずなのに、カードの利用明細にも載ってない。おまけに帝人君は、猫なんていたことがないでしょう、なんて笑う。
わかった?あいつは本物の化け猫だったんだってことが。
さすが非日常ホイホイの帝人君だよ。ピンポイントで化け猫を見つけて惚れ込むんだもん、嫌になるよねほんとに。どうせなら俺の記憶も消してってくれればよかったのに、なんの嫌味なんだか、俺の記憶の中にだけ残ってるんだ、デルタのあのすました横顔。帝人君の唇を舐めたシーンさえ、一枚の絵みたいに綺麗にさ。ほんとあいつと俺って似てる。そういう、最後に嬉しくない置き土産置いていくところ、そっくり。
ここまで話して、それって全部俺の妄想なんじゃないの、とか思ったら殴るよ。
全部ほんとにあったことだし、今もほら、俺の手首のところに爪痕が残ってるでしょ。これ、暴れるあいつを無理やりキャリーに入れた時の傷ね。嫌味なことに、あれからずいぶん経つのに消えやしない。
ま、そんなわけだからさ、君に言いたいことは、もうわかっただろ。
君はデルタが家に来た時と全くおんなじ過程を経て、こうしてこのソファに座ってるんだ。あの時と唯一違うのは、帝人君が君をきっかけに家に引っ越してくることになって、同棲がこれから始まるってことくらい。わかってると思うけど、俺と帝人君が同じ屋根の下にいて、抱き合わないなんてことはありえない。盛りのついた猫も顔負けなくらい、一日中だってずっとつながっていたいお年頃だからね。俺はこの家の中、どこでだって帝人君を抱くよ?キッチンだろうがソファだろうが、玄関だって構いやしないさ。気絶したって俺が満足するまでやめてあげられない。あの子が可愛く鳴く声も、俺の名前を呼びながらこぼす涙も、肋が浮くような細身の体の中に、入っていく感覚も、全部が全部、俺の劣情を煽って煽って、たまらないからね。
わかってると思うけど、邪魔をするな。
帝人君を笑顔にするためなら、多少のスキンシップは認めるけど、必要以上にベタベタするな。
それだけは何があっても守れよ。俺はもう二度とお前を殺したくないんだ、後味が悪すぎるし。



わかったら返事しろよ、二代目デルタ。
あと、できたら自主的に出てけ。




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「猫相手に本気で説教する大人気ない臨也さん」が、書きたかった。
作品名:黒猫のデルタ 作家名:夏野