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エンタースクール

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「でも、確かにチャットの感じだと、もう少し落ち着いていますよね」
「罪歌さんまでヒデェ…」
ヨヨヨ、と泣き真似をした正臣に、二人が同時に笑う。初めて会ったとは思えないほど一気に仲良くなれる空気に、正臣も楽しくなる。
「んじゃ、とりあえず自己紹介で~。俺は紀田正臣、バキュラでーす」
「園原杏里です。罪歌です。よろしくお願いします」
「僕は、もう知っているみだけど竜ヶ峰帝人、田中太郎だよ」
「てか、二人とも同じクラスなのか?名前知ってるし」
「そうなんだよ。まさかクラスメートだとは思ってなかったなぁ」
「そうですね、私も驚きました」
「同じ学級委員だし、これからよろしくね」
「こちらこそ!」
「委員まで同じなのか?!」
「先生が代表挨拶してたから学級委員もしろ的な空気を出したんだよ」
「そりゃご愁傷さまだな」
「でも園原さんが女子に立候補してくれて良かったよ」
「そんな、私こそ竜ヶ峰くんで助かりました」
「えー、なんだよ二人だけさっさと仲良くなりやがって~」
「しょうがないだろ、紀田くんは同じクラスじゃないんだから」
「す、すみません」
「園原さんが謝る必要はないから」
「太郎さんはリアルの方が毒舌ですね~」
「バキュラさんはリアルの方がバカっぽいですね~」
「ふふふふ」
そうやって三人はネット以外の現実空間ではじめての邂逅を果たした。
それぞれの過去も、抱えているものも知らず、純粋にただ友達として。




数日後
「おはよう紀田くん」
「おはよう帝人…てその服?!」
「え、変?似合わない?」
「いや、似合ってるけど、似合ってるのがまた問題っつーか………え?!」
「おちつけ」
「これが落ち着いてられるかー!!!女子より可愛い男子ってあるのか?!ありなのか?!」
「おはようございます」
「おはよう園原さん」
「あ、今日の格好は、」
「言ってやれ杏里」
「私とおそろいですね」
「そうだな、おそろいだな。…って違う!そこは違うだろ杏里!!」
「え、私なにか間違ったこと言いましたか?」
「ううん、園原さんは何も間違ってないよ。僕も園原さんとおそろいで嬉しいよ」
「マトモなのは俺だけなのかー?!杏里もそこで頬を染めない!」
「まぁまぁ、今日は内側にパーカー着てるから紀田くんともおそろいだよ」
「そうか、そうだな。…てよろこんでる場合じゃなくて!」
「早くしないとチャイム鳴るよ~」
「あ、オイ二人とも待てよー!」

作品名:エンタースクール 作家名:はつき