僕は起きているよ
それを安心と呼ぶのか何と呼ぶのか、ステラの瞳の奥に光が宿ったのを見て、アウルはたちの悪い冗談のような流れで、彼女を引き寄せた。スティングの役割をそのまま受け継いだように、しっかりとその細い頼りなげな身体を抱きしめ、その耳もとでそっと囁いて。
「お前が夢も見なくなるほど深く眠るまで、僕が」
アウルが、と復唱するようにステラが唱えるのを聞いて、アウルは嘲笑うような笑みを浮かべる。
そうだ、愚かなお前のために、この僕が。
そうだ、愚かなお前を好きな、愚かなこの僕が。
わらにすがるような仕草で、ステラの指先がアウルの背中に触れる。
「ステラが、眠るまで。アウルが」
そうだ、起きていてやる。
お前が眠るまで、起きるまで、死ぬまで、そしていつまでも。
傷つけていたわって、その何もかもを僕が許してやるんだ。
「僕は、起きているよ」
お前を殺すも愛するも、それは全て僕だけの。