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きみこいし
きみこいし
novelistID. 14439
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その手に大空の輝きを 4

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(何か・・・視える・・・流れ込んでくる・・・・これはムクロの記憶?)
意識が体から抜け出し、誰かの意識に寄り添う。はじめに見えたのは暗い闇にうっすらと揺れる光、そして水音、地下の一室だろうか、薄暗い室内には巨大な水槽が設置されていた。水槽にのびるいくつものコード、絡められた鎖の数々。そして、水槽のなかには、
(ムクロ!ムクロなのか?)
鎖と、チューブにつながれたムクロがいた。
(じゃあ、今ここにいる彼は?ムクロ!ムクロっ!)
ツナヨシの呼び声にも、応えることなく水槽の中の彼は目を閉じ、眠り続ける。
厳重な封印にしばられて。
(ムクロっ!)
叫ぶツナヨシの意識が引き戻される。時をこえ、場所をこえ、あるべきところへ。
「十代目!大丈夫ですかっ!」
(あれが、ヴィンヴィチェ・・・ムクロは今も、あの暗い闇の中にいるのだ)
「ムクロ・・・」涙が頬を伝って流れおちた。

一方、ムクロとマーモンの闘いでは、飛び交う幻術の攻防に決着がつけられようとしていた。一瞬の隙をついて、咲き乱れる蓮の花が、マーモンをからめとる。
「ふぎゃっ!」
「くふふ、終わりにしましょう―――巡れ、輪廻の果てまで」
ムクロの幻術がマーモンを浸食し、増殖していく。
「や、やめろ!死ぬ。死んでしまう・・・ふぎゃー」
蓮に縛られたマーモンの体が霧となってはじけとぶ。
衝撃の余波をうけ、教会の鐘が一斉に鳴り響く。
「弔いの鐘ですか・・・マフィアふぜいには、もったいない鎮魂の音色でしたね」
残る力を使い果たし、かろうじて逃げ延びたマーモン。アルコバレーノすら圧倒する力を見せつけ、ムクロは勝利を手に入れた。その手に<霧>のリングをつかんで。

―――これで、3対3、残る対決は<雲>。