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きみこいし
きみこいし
novelistID. 14439
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その手に大空の輝きを 4

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その手に大空の輝きを 《雲雀恭弥編》


僕が傷つくと、なぜか、キミは泣いてしまうから。
強く、強く。誰にも、何ものにも、負けない強さを。


 * * * * * * * * * * * * * * * 


「ムクロ・・・」悠然と歩み寄るムクロを呆然とツナヨシは見つめていた。
「はい?どうぞ、サワダツナヨシ。<霧>のリングです」
「っ、ムクロ!キミは・・・」
「ん、どうしました?」ツナヨシの様子にとまどうムクロだったが、次の言葉を聞いた瞬間、めずらしく驚きをあらわにした。
「必ず助けるから!何年かかろうと、絶対に。絶対に助け出すから!」
キッと顔をあげて。その瞳にはキラリと光る涙のあと。
「っ、あなたが?ボクを?・・・くふふ、逆ですよ。ボクがあなたの守護者だ」
これだから、ボンゴレは油断できない。
動揺を押し隠すムクロへツナヨシはそっと手をのばす。頬に触れる小さな手。ムクロはとっさにふりほどこうとするが、その感触に体は凍ったように動かず、思考は毒に侵されたように甘く痺れる。
「サワダ・・・ツナヨシ・・・」
(確かに触れているのに・・・でも、キミはここにはいない)
届くだろうか?この手のぬくもりも、この想いも。
―――今なお、あの深い闇の底に眠るキミに。


「いつまで、群れてるのさ。咬み殺すよ」
「ヒ、ヒバリさん!」
「雲雀恭弥、次はあなたですか」
あわてて離れるツナヨシと不敵な笑みをうかべるムクロを悠然と見返し、雲雀はバトルフィールドへ進む。
「ねぇ、さっさとはじめてよ」
「はい、では<雲>の守護者はバトルフィールドへ」
「あの、雲雀さん」
「ん?」
「・・・気をつけて」
「誰に向かって言ってるのさ」
「はいぃぃ!すいませんっ」
鋭い眼光にあわててさがるツナヨシに、雲雀はひそやかに告げる。
(安心していいよ。ボクはその男たちとは違うから・・・)
そして雲雀は対戦相手、ゴーラ・モスカを見やると婉然と微笑んだ。

ザンザスの<雲>の守護者はゴーラ・モスカ。2mをゆうに越える巨体の持ち主で、顔をマスクで覆っており、その表情は見えない。常にザンザスの命令を確実に実行するボス補佐だという。その素性、戦闘スタイルともに正体不明な相手だった。
くわえて、<雲>のバトルフィールドはまさしく戦場。いくつもの砲台が動く標的を狙い撃ち、地面には大量の地雷が設置されている。過酷な闘いが予想される。
「ではボンゴレリング争奪戦。<雲>の守護者、雲雀恭弥 vs ゴーラ・モスカ
 ―――バトル開始!」
直後、モスカはロケットブースターを作動させ、一気に間合いをつめる。
そして、突き出された両手には銃口。連続して打ち出された銃弾が雲雀をとらえる。
「なっ、あいつ人間じゃねぇのか!」
「ヒバリさん!」不安げに叫ぶツナヨシにちらりと目をやると、雲雀は小さく囁いた。
「・・・そんな顔しないでよ」
眉をゆがめて、瞳をうるませて、泣きそうな。
そんな顔をみたくないから・・・だから。だから。


はじめてキミをみつけたのは、中学の時。
キミは獄寺隼人や山本武、他にもたくさんの人間と群れていて、はっきり言って気にいらなかった。『咬み殺す』そう言ったボクにキミは誤解だと激しく首をふっていた。
そして、次にキミをみつけたのは、夕暮れの屋上。
いつも、うっとおしいくらいに群れている二人も側にいなくて、キミは一人で屋上の風に吹かれてた。屋上からは並盛りの町がよく見渡せて、ボクのお気に入りの場所だったから、ちょっと咬み殺したくなったけど、でも、許してあげるよ。
――――キミが泣いてたから。
誰にも気付かれないように、ひとり、静かに。
ぽつり、ぽつりと薄闇の町に、灯りがともって、風がキミの髪をなびかせた。
ちらりと見えた横顔に、どうしようもなく、腹が立った。

キミが泣くと、なぜかイライラする。
泣いているキミも、その原因も、咬み殺したくなる。
そんな顔してほしくないから。
なるべくキミの近くにいて、キミを守ることにした。
けど、欲張りなキミは、誰彼かまわず助けて、傷ついて。弱いくせに。泣き虫なくせに。決してひかない、曲げない、譲らない。
それに、キミは自分のことじゃないのに笑って、泣いて、忙しい。
わからないな。なぜ他人のことで泣けるのか。
けどしょうがない。キミがそんなことでも、泣くのなら。そんな顔をするのなら。
ボクは強く、強く。誰にも、何にも、負けない、傷つかない、
――――圧倒的な強さを。



モスカの銃弾が千の雨のように、雲雀を襲う。雲雀はトンファーを回転させ、銃弾をはじくと、瞬時にモスカの間合いに攻め入った。絶対の間合いから繰り出される攻撃。一瞬にして雲雀のトンファーがモスカをうち砕く。
あの、モスカを瞬殺。最強にして、最凶。何にも束縛されることない孤高の浮き雲。
あっけにとられるツナヨシたちをおいて、雲雀は婉然と笑うと、さらにザンザスを挑発する。
「降りておいでよ。サル山のボス猿を、咬み殺してあげるよ」
「・・・ふっ、いきがるな。オレが手を下すまでもねぇ」
「ん?」
その瞬間、背後から一筋の光が雲雀をつらぬいた。ふらりと、雲雀が膝をつく。
「ヒバリさん!」
「くははは。まだ勝負は終わっちゃいねぇみたいだな。行け、ゴーラ・モスカ」
『ふしゅー』
ふらりと立ち上がったモスカは両手をあげると、四方八方に攻撃を開始した。バトルフィールドだけでなく、見守るツナヨシたちにも銃弾が襲う。続いて背中からは、対戦車ミサイルが無差別に発射され、圧縮粒子砲が建物を壊す。先ほどとは比べものにならない、激しい攻撃、まさしく、歩く人間兵器だ。
「なっ、やろー。どんだけ、武器搭載してんだよっ」
加えて、モスカの弾薬に、バトルフィールドに設置された、砲台、地雷が誘爆する。
「やべ、ツナ伏せろ!」
「わっ!」
「なんだ!これは。これでは無差別攻撃ではないか!」
「リング争奪戦じゃなかったのかよ!」
「ザンザスめ。どのみち、目撃者は全員消すつもりだったな!コラ」
「なんで・・・仲間だっているのに」
あたり一面は火の海。モスカの攻撃にツナヨシたちだけでなく、ヴァリアー側にも被害が及んでいる。燃え上がるかつての村。傷つく仲間たち。ガラガラと音をたて、すぐ側の廃墟が崩れ落ちる。
「くっ、ははははっ!こいつはとんだ大惨事だな!」
燃えさかる火の海を背景に、ザンザスの高笑が響く。
「なんで!ザンザス!」惨状を目にして叫ぶツナヨシに、ザンザスは冷酷な笑みをかえす。


ボンゴレリング争奪戦、最後の<雲>の守護者の対決を終え、リングの数はツナヨシ側が4つに対して、ヴァリアーは3つ。争奪戦を勝ち越したものの、モスカの暴走でツナヨシたちは絶対絶命の危機にあった。


【次回更新予定日:2010.10.30】