二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

今日も今日とて池袋は平和です

INDEX|1ページ/5ページ|

次のページ
 
たったたと軽快な足音にスーツを着た男は立ち止まる。
そして後ろを振り向こうとした瞬間、腰に思いっきりタックルされた。

「兄さん!一緒に帰ろうっ」

にっこりと笑った少年に、スーツを着た男は一瞬呆けたものの、すぐに微笑を浮かべこてりと小首をかしげて見せた。

「おや?帝人。学校、今日は早かったんですね」

帝人は笑いながら兄の手を引き、歩みをせかせる。太郎は帝人に手を引かれるまま歩き出した。
太郎の方が足のコンパスが広かったので、自然と足踏みがそろう。そして兄は弟の小幅に合わせながら心持ちゆっくりと歩いた。
帝人は兄と手を繋いだまま、自分よりほんの少し上にある太郎の顔を見上げる。
太郎は帝人に苦笑を漏らしながら、弟と手を繋いでいない方の手をパンツのポケットにつっこんだ。

「うん!今日は午前だけだから。兄さんは今日も早いね」

にこにこと笑みを浮かべている帝人だったが、その口から漏れた言葉に太郎は内心笑みを深めた。

「まぁ、まっとうな仕事じゃないからねぇ」

「ふふ!捕まったらいやだよ?」

一瞬瞳を光らせた帝人だったが、すぐに幼さの残るあどけない笑みを浮かべる。

「捕まるわけ、ないよ」

太郎も残忍な笑みを浮かべた後、また柔らかな兄の笑顔を浮かべた。
兄弟二人が仲良く帰り道を歩いていると、遠くの方で何かが飛んでいるのが見え、同時にひゅ~と風を切る音が響く。
そして二人は顔を見合わせ、片方は呆れ疲れたため息を、片方は目を輝かせ声を上げた。

「兄さん!兄さん!あっちだよあっち!」

「帝人、いい加減にしてくれないかな。嫌だよ。どうしてわざわざ絡まれに行こうとするの」

兄の手をひっぱりずるずると引きずりながら、帝人は天使の笑みを浮かべる。

「えー?だって『非日常』じゃない?」

「帝人が好きなのも分かるよ。僕だって好きだし。でもあれはいや。絶対嫌」

太郎は首を必死に横に振ったが、帝人は笑みを浮かべたままずるずると兄を引っ張っていく。
流石は現役高校生。たとえ帝人の腕っ節が弱くともそれ以上に弱い太郎を引きずることは苦ではないらしい。

「兄さんが嫌のはあの二人が起こしている戦争じゃなくて、あの二人にくっついてる彼女たちでしょ」

「流石僕の弟。よく分かってるじゃないか。でもね、どうして僕が嫌いなのを分かっててそっちへ連れて行こうとするの!?」

先ほどよりも戦争の音が激しく大きくなっている気がする。気がすると言ったのは太郎が少し現実逃避をし始めたからだ。
実際に酷い轟音を立てながら、何かが壊れている音がしていた。
帝人はきょとんとした顔をすると、兄に満面の笑みを浮かべる。

「だってその方が『非日常』じゃないか!」

「帝人!自分が『日常』にいるからって僕をそっちに巻き込むな!」

道ばたで叫んでいる兄弟を通行人は不思議そうに見ては去っていく。端から見ればこの兄弟も変人なのだが、全く二人は気がつかない。

「普通の男性だったら絶対、涙流して嬉しがるのにね~」

いつもの光景を思い浮かべて不思議そうに呟く弟に、太郎はとうとうあきらめのため息をつき、帝人の隣を歩き出した。
弟はそんな兄の行動を分かっていたのだろう。ふふ、と笑うと繋いでいた手を一旦離し、兄の腕に自分の腕を絡めた。

「その嬉しがる人に菓子折付きで差し上げるよ。・・・一体誰に言われたの?」

思いっきり疲れたため息をこぼした兄に、帝人は人差し指を立ててにっこりと笑みを一つ。

「正臣だけど?男なら泣いて喜ぶ場面じゃん!とかなんとか」

「見た目だけだったら僕だってほだされたかもしれないけどね。流石にあの二人は無理。その前に歳的にやばいから」

思い出すのは彼女たちの姿。若干13にして誰もが見とれるその容姿。すばらしいプロポーション。十人中十人が振り返るであろうその姿は神が与えた至宝の宝石。
けれど残念かな。そんな恵まれた姿形を保つ彼女たちの魅力をマイナスにまで引っ張るのはその性格と行動。
彼女たちは仲がよいらしく、いつも二人一緒で行動している。そして片方がからかい、片方が恥ずかしさの余り破壊を起こす。
それが彼女たちのパターンである。ただ、そのからかい方や破壊が常人離れしているのだ。
普通は刃物を投げてたり、情報を駆使して相手をからかおうとしない。
普通はからかわれて恥ずかしさの余り道路にひびを入れたり、標識をへし折ったりしない。
太郎は思い出しただけで肩を下ろした。
そして芋ずる方式的にだが、太郎の頭に今まさに戦争を起こしているであろう人物達が浮かぶ。
そして今度はとても真剣な瞳で自分の腕に頭を預けている弟を見た。

「帝人」

「なぁに?」

太郎の真剣な瞳と声に帝人は内心小首をかしげる。
兄の真意を確かめようと、自分と同じ青みがかった瞳を見つめ返した。

「お前はホモサピエンス?」

「単刀直入な兄さんだね」

兄の言葉に帝人はにやりと笑うと、兄の腕に自分の頬をくっつける。
太郎はそんな帝人を見つめながら、歩みを止めることなく静かに言った。

「良いから答えて。別に僕は止めないよ。ただ、親を説得するにはどうしようかとは思ってる」

「兄さんは偏見ないんだね。でも、ちょっと違う。僕のはただ単に『非日常』であるあの二人が好きなの。
 あの二人だから、ってわけじゃないから安心して。僕は至ってノーマルです」

帝人は淀みない言葉で、己の本心を告げる。
今戦争を起こしている男二人は本当に綺麗な顔をしていて、同じ性別の自分から見ても見とれてしまう顔をしていると帝人は思っている。
しなやかな身のこなし、絶対的な力。すべてが帝人を魅了し引き離さない。けれど、それは単なるあこがれの一部で、兄が問うている恋愛感情とは全く違う。
帝人はただあの二人が持つ『非日常』の部分が好きなだけであり、あの二人が好きというわけではない。

「そう、それを聞いて安心・・・・帰って良いかな」

心底ほっとしたような顔を浮かべた太郎がふ、と前を見るとそこには惨劇が広がっていた。
へし折れた標識や、看板に突き刺さっているサバイバルナイフ。窓ガラスが割れた車に、ひびが入った道路。
一体全体どんな怪獣が暴れたんだと聞きたいような池袋の酷い姿だが、悲しいかなこれは全て一応人間のカテゴリーに入っている人物達が起こしたもの。
この惨劇を直に見た今、太郎の心しめる感情はただ一つ。帰りたいという事だけ。
対して帝人は感嘆の声を上げると、こてりと首をかしげて心からのつぶやきを漏らす。

「・・・一体いくら請求されてるのか気になるよね~」

そんな帝人のつぶやきに、太郎はがっくしと肩を下ろしてため息をはいた。
同じ顔をしてここまで思うことが違うものなのか、時折不思議になる。

「帝人はのんきだね」

「だって兄さんの弟だもん」

何を今更、という顔をする帝人に太郎は頬を引きつらせた。

「それ僕褒められてる?褒められてないよね?」

「そう?僕は褒めたつもり。あ、気が付いたね。臨也さんが呼んでる。静雄さんも気がついた」