二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
逢坂@プロフにお知らせ
逢坂@プロフにお知らせ
novelistID. 16831
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

【米英】Give me a chocolate!

INDEX|9ページ/9ページ|

前のページ
 

 きょとんとした顔は、アメリカの言葉を受けてたちまち赤みを帯びる。イギリスは照れた様子で、けれども嫌がるそぶりは見せず、それどころか嬉しげに微笑を浮かべさえしてその申し出を承諾した。
「……ん」
「イギリス……っ」
 その瞬間。堪えられなくなったらしい、アメリカは晴れて恋人に昇格した目の前の相手の肩を引き寄せ、抱き締めていた。
「あっ、ばか」
イギリスが止めようとするのも聞かず、顔を寄せると、そのくちびるに彼のそれを押し付ける。
「んっ……」
 それはわずかの時間だったが、情熱に満ちたキスだった。合わさった口の間から二人の想いが溶け出すような、愛情に溢れる口付けだった。顔が離れると、目を開けたイギリスはうっとりとアメリカを見上げていた。
「チョコの風味がするよ。味見したかい?」
 軽い調子で尋ねられ、ふっと笑う。
「……ばぁか」
「今すぐ食べたくなってきたんだぞ。さっそく行こうか!」
「ああ、分かった分かった」
 アメリカはドアを開けると、イギリスの肩を抱くようにして外へと押し出す。彼は苦笑しながら従ったが、ふと疑問が浮かんだようで、隣に問いかけた。
「……そういや、お前どこから湧いて出たんだ? 俺、外に出てたの一瞬だったよな」
「えっ……そりゃあもちろん、俺はヒーローだから、君に会いに飛んで来たのさ!」
 ――バタン。
 ドアが閉まる音でイギリスの返事は掻き消され、あとにはただ静けさが残った。そしてそれを打ち破るかのように――、
「ぶはぁ!」
 殺していた息を吐いたのは、当然ながら、実はずっとその場に居たセーシェルとフランスである。
「何の拷問だこれ。あいつら、ラブシーンならよそ行ってやれっつの……!」
「完っ全に私たちの存在、忘れ去られてましたね!」
 蚊帳の外に居た二人は、目の当たりにした衝撃的映像に、ぐったりとうなだれていた。
「しかもアメリカのやつ、部屋押し入り作戦まで遂行させちまったぞ……独伊も目じゃねえな」
「凄かったです。あんな情熱的なアメリカさん、初めて見ました」
 セーシェルは胸に手を当てて、何度か呼吸をした。鼓動がいつもの二倍くらい速そうだ。
「あの分だとチョコどころかイギリスも美味しく頂いちゃうんじゃないの。いや、チョコはマズいだろうから口直しになるのか?」
「下ネタは止めてください。……でも、巧く行って良かったですよね!」
 としか云いようがないというのが正直な感想である。フランスはまあなあ、と頷く。
「これで一件落着、ってか。あいつらほんと、やってらんないよな」
 それから視線を落として、ああ、アメリカのやつ鞄忘れてら、と呟いた。見れば、ソファには彼の鞄が転がったままである。それでセーシェルはさきほど引っかかっていたフランスの発言を思い出した。
「フランスさん、気づいてたんですね」
「ん、何が?」
「二人が両想いだって。会長もアメリカさんのこと好きだって分かってて、だからこんな計画も立てたし、あのとき、そろそろって云ったんですね」
 フランスは両肩を上げた。
「んー、まぁなあ。ほんとは放っておいても良かったけど、鬱陶しいのはマジだし、この際バレンタインに乗じてまとめちまってもいいかな、ってな」
「苦労性ですねえ」
「まったくだな。それよりセーシェル、作戦の成功を祝って、これからお茶でもどうよ。お兄さん奢っちゃうよ」
 とたんにセーシェルは目を輝かせる。
「あ、いーですね。裏のカフェのバレンタイン限定ショコラ、今日までなんですよ!」
「良し、決定」
 その言葉が合図だったかのように、二人はソファから離れる。そして生徒会室を出る瞬間、今ごろは仲良くイギリスの部屋に向かっているだろうアメリカたちの姿を思い浮かべ、セーシェルはこっそりと微笑した。

(了)