【東方】東方遊神記(プロローグ)
② 幻想郷に来た神様
いきなりで悪いけど、あたしは小説のような綺麗な文章を書くつもりはないからね。これはあくまであたしの無駄話なんだから、あたしの好きなように書かせてもらうよ。
この物語の始まりは、妖怪の山の奥にある守矢神社って場所からなんだ。妖怪の山っていうのは、読んで字の如く、様々な妖怪が棲んでいる山のことだね。はるか昔は四人の鬼が支配していたんだけど、月日は流れ、鬼たちは山を下りて行ったり、地の底に潜っちまったりして、山には一人も鬼がいなくなっちまった。今は天狗たちが山を統率しているよ。まぁ天狗にしてみれば、うるさい上司がいなくなって良かったってところじゃないかね。ここら辺の話は今回の話に関係ないから省くよ。で、この守矢神社なんだが、元々は顕界、つまりお前さんの世界にあったものなんだ。大和の国ではかなり有名だった神様が住んでいるところでね。お前さんも知っているだろう?諏訪大明神様(すわだいみょうじんさま)に建御名方神様(たけみなかたのかみさま)だよ。でもこの呼び方はめんどくさいから、この神様が祭られていた神社から取って、仮に八坂様としとこうか。あぁでも、もしお前さんでも知っているとしたら、この神社は今でもそっちの世界にあったはずだね。言い忘れてたけど、この幻想郷っていう世界は、顕界で忘れ去られた物、不必要となった物が流れ着く世界なんだ。でも、中には自らの意思で来る者もいるけれどね。で、この二人の神様は自らの意思でこの幻想郷に来たんだ。今顕界では宗教や信仰といった類の物は流行っていないんだろ?神様に限らず人ならざる者、要するに妖怪とかのことだけど、そういう奴らはその存在を信じる人間や、信仰する人間の数によって、その存在力が決まるんだ。だから、顕界はもう妖怪や神様にとってとても住みにくい場所になっちまったんだ。下手をすりゃ存在力が0になって死んじまうかもわからないからね。神様だって死ぬ時ゃ死ぬんだし。で、焦ったこの二人の神様は幻想郷を新天地として新たな信仰心を獲得しようと思いついて、神社やそばにあった湖ごとこっちに移ってきたってわけだ。まぁ諏訪大明神様はあまり気にしてなかったみたいだけどね。神様はやることが大きいねぇ。それで、首尾よく幻想郷の妖怪の山で信仰心獲得にむけて動き始めたわけだが、まぁ簡単には事は進まないわけで。代々幻想郷と顕界の境界や幻想郷全体を管理、監視している博霊の巫女や、その相棒らしき白黒の魔法使い、それに他の幻想郷の有力者と一悶着も二悶着もあったんだが、その部分も今回の物語とは関係ないから割愛するよ。まぁ結論を言うと、この神様たちは幻想郷の有力者たちと和解して、それまでどおり妖怪の山で暮らすようになったんだ。
ここまではいいかい?なんだかすごく説明が長くなっちまったが、これも性分なんでね。この先も同じように書いていくから、覚悟しといてくれ。ああっ、書を放り投げるんじゃないよ、せっかくここまで読んだんだから最後まで付き合っとくれよ。・・・といっても、今回はこれでお仕舞いにするけどね。拍子抜けさせてしまったら申し訳ないんだが、大丈夫。すぐに続きをお前さんの所に届けるよ。次からが本番だしね。
作品名:【東方】東方遊神記(プロローグ) 作家名:マルナ・シアス