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"忘却は罪"と忘れること勿れ

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「着きましたよ」
「最初はどこ行きますか?あ、イタリアはダメですよ」
「…スペイン」
「い、意外ですね…」
「そう?一度、闘牛と手合わせしたかったんだよね」
「!?」
「却下ァ!!」
わいわいと騒ぎながら車を乗り捨ていざ、大空へ
タラップの途中でふ、と彼が振り返った
「綱吉?」
「…ぁ、大丈夫です。何でもありません」
「飛ばしますよ」
早く、と急かす六道の呼び掛けを聞き流しながら、僕は故郷へ最後の挨拶を贈る
「――Ciao!」
もう、僕には何もない
地位も名誉も財産もすべて
けれど、彼さえいればそんなものどうでもいい
彼とならどこへだって行ける
僕達は自由だ
「綱吉」
「?」
「死んでも僕を忘れないで」
君さえ覚えていてくれたら僕はもう、何もいらない
そのための犠牲だって喜んで払う
だから、僕を忘れないで
「忘れません」
彼は微笑む
全てから解放された、清々しい微笑み
「だって、"忘却は罪"ってよく言うでしょ?」
雲雀さんに対してオレは二度と、罪は重ねません
はっきり告げた彼は僕の指に自身の指を絡ます
「…雲雀さんも、絶対にオレを忘れないで」
「うん」
忘却なんて、するもんか。してやるもんか
狂気にも似た感情
病んでいる僕達の心
狂ってると思うなら勝手に思えばいい
病んでいると思うなら放っておけばいい
「忘却は罪、か…」
忘れないで
君がすべてを忘れても僕が覚えている
だから
もっと僕を求めて、必要として
忘れないで
僕のすべてはいつも、君のために――

「…"忘却は罪"と、忘れることなかれ」
僕の呟きは、誰にも知られることなく碧空へと溶けていった



......end