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宣戦布告

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「ねぇ、帝人君。吊橋効果って知ってる?」

臨也は爽やかな笑顔で帝人にそう問うた
帝人と臨也はそんなに会ったことが無い
チャットでは日常的に話しているが、実際に会ったのは数える程度だ
そんな関係なのだが、帝人が池袋の街を歩いていたら臨也が話しかけてきた
最初は挨拶。そして簡単な近況を話して、冒頭の質問に戻る
帝人は臨也のいきなりの質問に戸惑ったが、質問に偽り無く答えた

「なんですか?いきなり。知ってますけど」
吊橋効果
男女が一緒に吊橋を渡り、ドキドキすることを恋の動悸を勘違いして恋が生まれること
それは知っているが、その質問の意味がわからずに帝人は臨也に向かって首を傾げてみせる

「1年くらい前に、ある事件があっただろう?そう、君が初めてダラーズの創始者として動いた時だよ」

クラスメイトの矢霧と張間に関するとある事件。
その事件を解決するために帝人は自分が作った架空のカラーギャング-作った時は架空であったが、それは現実に形作られた-を利用した
それは確かだが、先ほどの吊橋効果の質問とまた離れた気がして帝人はますます疑問を顔に浮かべる
そんな帝人の様子を見た臨也は話を続ける

「あれで、君がダラーズの創始者の顔を見せたとき、俺はどうしようもない高揚感を感じたんだ」
臨也の顔が楽しくてしょうがない、と言っている
「君の部屋であの顔を見たときから君をもっと知りたくて知りたくて、胸が高鳴ってしょうがないんだ」
え?と帝人は呆気に取られる
「この胸の高鳴りはなんだろう。同じ事件を体験して動悸があるだけなのだろうか。
でも、同じ部屋に居たセルティには何も感じていない。
事件が幕を閉じても帝人君を思い出すと胸は再び高鳴ってさ。原因を探らないとって思ったんだ。
君を全部調べ上げればわかるかなー。と思って君を調べ上げたよ。
ハハハ。そんな嫌な顔しないでよ。
うん。調べ上げたんだ。俺は、興味ある人間を調べることが愛することの行動の具現化だと思っているんだよ。
だから今までも調べ上げた人間はたくさんいる
それで、調べてから面白そうな行動をしてくれるだろう火種を撒く
そんなことをしていたんだ
ああ、ここで言う愛するっていうのは、人間という種を愛しているってことだよ
個体じゃなくて種として愛している、ここは重要だから勘違いしないでね
でも、帝人君。
さっきも言ったけど、帝人君を調べた理由は他の人間とは違うんだ。
帝人君に興味があることはもちろんなんだけど、俺の動悸の原因のために調べて…
それで、わかったんだよ」

そこで、流れるような臨也の一人演説が区切られる
帝人は嫌な予感しかしていない
臨也は楽しそうに、本当に楽しそうな顔をして帝人を見つめる
そしてうっとりと陶酔しているように言葉を紡ぐ

「俺は帝人君に恋しているんだってね」

帝人はその言葉を簡単に理解することが出来なかった
耳に届いて、それと同時に脳は理解したはずなのだが、心はそれを理解することを拒んだ

「わかる?俺は今まで人間を愛していたけど、特別な存在なんてなかったんだ。
あったとしても、それは興味をそそられる、という意味だけ。
でも、君は違うんだ。きっと、これが恋っていうんだね。
愛は真心。恋は下心。愛の方が上位。
そんなことを言った人がいるけれど、俺にとっては違うよ?
だって、下心がある方がいいじゃないか。俺は帝人君に触れたい。キスしたい。SEXしたい。
20年以上生きてきて初めての感情だったからこの感情を理解するのに時間がかかっちゃったよ
幼稚園で初恋を済ませられる人間が多いっていうんだから凄いよね。だから、人ラブ。
人間を愛しているのは変わらない。
でも、君は特別。本当に特別。俺は他人より人間を観察している自負がある
そんな俺だけど、こんなに夢中になった人間はいない
帝人君、好きなんだ。好きだよ。本当に好き。わかった?」

わかる?から始まってわかった?で終わった愛の告白
帝人は「わかりません。わかりたくありません」と言いたかった
しかし、それを言えば目の前の人間がどんな行動を起こすのか想像出来なくて言えなかった
さて、この場をどうしたものかと考えあぐねる帝人とそれを興味深そうに見つめている臨也

帝人は好意を持ってくれるのは嬉しいけれど…とどこかで聞いたようなセリフを組み立てている
組み立てているうちに、これが正臣クラスに仲のいい人間ならばさっき考えたとおりの「理解出来ない」という一刀両断のセリフでいいんだけどなー。
いや、あそこまで仲良かったらそうやって断るのは難しいかなー。という現実逃避的な考えも紛れ込んできた
実際、現実逃避したいのだからしょうがないとも言える
臨也といえば、(ああ、帝人君はどんな表情でも可愛いなぁ)と帝人的にはなんとも嬉しくないことを考えていた
そして百面相する帝人を見て、(俺にどんな言葉を掛けるのか迷って…傷つけないような無難な言葉を選んでいるんだろうな。)と帝人の心情を推察していた

「臨也さん」

意を決したように帝人は臨也を呼んだ

「ん?なに?」
それに反して、呼ばれた本人は軽く返事をした
帝人は少し拍子抜けしたが考えた言葉を伝えようとする

「臨也さん。気持ちは嬉しいんですが、僕は臨也さんと同じ気持ちを臨也さんには持ち合わせていません。臨也さんはいい人だと思うんですけど…すいません。
ありがとうございます」

「うん。どういたしまして」

臨也の言葉を聞いて、帝人は疑問に思う
告白は本当だったのだろうか、と
告白を断った人間に対して「どういたしまして」と返す人間が居るとは思えない
人間観察をしたかったからという理由で自分に告白をしてきたのではないだろうか?
作品名:宣戦布告 作家名:彼方