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変化と想いと日常と、それからの

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屋上に呼び出された私の前に、師匠が仏頂面で座っていた。
………私は何かしてしまっただろうか………。
「………よう、努力」
「は、はい、お待たせしました師匠!!何か御用ですか!?」
わざわざ放課後に屋上に呼び出すのだから、何かあるのだろう。
そう尋ねる私をじっと見て、視線を逸らし、溜息を吐く。
………な、なんなのだろうかこの反応は………。
不安に思っていると、師匠が正座の形に座り直した。
「………ん」
「………は?」
そのまま、自分の膝を手の平で軽く叩いて、何かを促す様な声。
………いや、えっと………?
「あ、あの…師匠…?」
「………とりあえず、こっち来い」
深い溜息を吐いて、手招き。
隣を指差したので、大人しく座る。
そして暫くの沈黙。
放課後の屋上で、二人して並んで正座。
………な、なんだこの状況!?
「………頭乗せろ」
「は?」
言うが早いか、ぐい、と頭を掴まれて引き倒される。
………師匠の膝の上に、だ。
「………うええっ!?」
「あーもーうっさい!!少し黙ってろ!!」
「いやあのでもっ!!」
「いーから黙る!!」
「うぅ…」
黙れと言われたら黙るしかない。
こ、これも何かの修行なんだろうか。
そのまま、また暫くの沈黙。
………師匠の膝柔らかいなぁ。
抱き締める時の身体の感触も柔らかいから当然なのかもしれないが、これは何とも…。
むう、師匠の人柄を思わせるお日様の様な温かみが頬から………ってうわあああ何考えているんだ私は!!
自分の身体がガチガチに固まっているのが情けない。それに輪をかけて思考が欲塗れなのが…いやいやいや今のは違う。違うんだ。私は師匠を尊敬していてですねっ!!いやそれよりこんな私を乗せていて師匠は膝が痛くないんだろうか…。頭だけとはいえ…。
と、頭の上から降ってくる溜息。
…色々見抜かれている気がして益々身体が固まった気がする。
次いで、私の頭を優しく撫でる手の感触。
………あぁうん、なんだこれ。
師匠は一体何を………!!
意図が全く読めない。
横倒しの状態で固まっている為、表情を窺う事も出来ないし。
しかし頭を撫でられるのは少し気恥ずかしい。子供の頃はよく兄達に撫でられていたものだが…それとは違う、柔らかい手。
…どちらかといえば母親のそれに近い様な…いやいやいやそれは何か違う!!ていうか師匠に怒られるそんな事考えてたら!!
やがて、師匠が口を開く。
「………みっちゃんがさぁ」
………………。
そこであの女の名前ですか。
流石師匠、頭が一瞬で冷えましたよ畜生。
…また何か吹き込まれたのだろうか。
師匠の想い人を悪く言いたくはないが、それにしても…。
そのまま己の思考に入り込もうとしていた私の耳に、師匠の声。
「言いにくい事は顔見ながらじゃなきゃ言いやすいだろうって」
………ん?
「でもお前ケータイとか持ってないし。…まぁ、こーいう話するのに電話ってのもアレだしな。…だからこーなった訳なんだけど…」
師匠が言い淀む。
…え、あれ、何ですか。
………言いにくい事って………………ま、まさかっ!?
その可能性に行き当たって、冷や汗が吹き出る。
「…これはあれか、滝汗ってやつか?」
何だかげんなりとした師匠の声。だがそんな事には構っていられない!!
「しっ、師匠!!」
「うおっいきなり起きんな!!」
身を勢い良く起こし、師匠に詰め寄る。
「破門ですかっ!?私のどこがいけなかったんですかっ!!」
「………そーきたか」
呆れと脱力を含んだ、引きつった笑み。
「………ち、違うんですか」
「あぁ、うん、えーと………」
困った様に視線を逸らしながら。
「………パス」
「は?」
「今回パス!!帰るぞー!!」
「ちょ、師匠!?」
どこか曖昧な、誤魔化す様な笑みと共に、師匠が屋上の扉へと向か────って!!
「いや気になるじゃないですか!!言って下さいよー!!」
「あーもーパスパスパス!!大体良い結果になるわきゃねーんだから!!」
「師匠ー!?」
「いーからもー忘れろ!!気にすんな…ってうおっ!?」
「師匠!?」
正座に私の頭を乗せた所為で足が痺れでもしたのか、師匠がバランスを崩す。
支えようと思わず手を出し、
「おっと、あぶねーな」
………丁度やって来た勝利兄さんの腕に掻っ攫われた。
「え、あ…ありがと、勝利」
「いや。しっかしいないと思ったら屋上かよ。まぁいい、帰るぞ」
「うわっ!?」
了承も得ず、兄さんが師匠を担いで階段を下り…待てぇぇぇ!!!
「兄さんっ!!私を無視して師匠を持ってかないで下さいよ!!」
「僕は荷物か!!」
いやそこに突っ込む前に兄さんに抗議して下さいよ師匠。
「いーじゃねえか別に」
「よくないですっ!!」
「じゃあ僕が!!」
「…ガル」
「フッ、この天才に任せれば間違いは無い」
「なんだてめーらこんなとこで!!俺が一番目立ーつ!!」
「またこのパターンか!!」
思わず叫ぶ。
どこから出てきたお前ら!!ていうかこいつら最近師匠に構いすぎてないか!?
師匠は私の師匠なのに!!

…なんだかんだと騒がしく、このメンバーで帰路につく事になったその道すがら。
「…ついてね」
そんないつもの師匠の口癖は。
どこかホッとした様な、困った様な、そんな笑みを見せながらのもので。
………何故か胸の奥が苦しくなった。



────結果として、勝利達の乱入により有耶無耶となってしまった訳だが。
それ以前に自らパスしまった訳で。
つまりは逃げてしまった訳で。
焚き付けた相手に対し、結果報告してみれば。
「…もうラブレター書けば?得意でしょ、アンタ」
呆れのみを浮かべた顔で、投げ遣りにそう言われ。
「…今更照れ臭いし。大体アレはどーしたってです代に渡る」
「…難儀よねぇ、アンタ…」
「それこそ今更だけどねー…」
半ば予想されていたのか、終始溜息を吐かれる羽目に陥った。



師が何を告げようとしたのか。
弟子がそれを知るのは、まだまだ先の様である。