変化と想いと日常と、それからの
蛇足として。
同時刻、空き教室にて男共の会話。
「…今回はセーフか」
言いながら、勝利が舌打ちする。もう少し早く邪魔したかったのが本音だ。
「洋ちゃんから伝えようとするとはねー。それにしても努力も甲斐性無いね」
何気に辛辣なのは友情だ。さらりと笑顔で言っている辺り、いい性格である。
「フッ…同感だが、洋ちゃん呼びはどうかと思うぞ」
相も変わらずキラキラしながら天才。
「僕のキャラ勝ちだよね!!」
爽やかに友情。自分をよく知っている。
「…ガル」
その背後で一匹狼。同意を示す相槌だろうか。
「お前お友達タイプだよなー。ま、友情マンなんだから当然か」
何故か当然の様にその場にいる目立が軽く言う。暗にお友達止まりだろ、と。
それを受けて、いつもの面子はいつもの通り。
「当然だな。つまり洋一は俺のモンだって事だ!!」
「凄まじい飛躍っぷりだな。この天才を無視してもらっては困る」
「…俺もいるガル」
「ちょ、僕もう選外みたいになってる!!友情から全ては始まるんだよ!?」
「まあ付き合いの長さで言ったら俺だな!!」
「てめーは他で目立ってりゃいーだろーが。こっちにしゃしゃり出てくんな」
「友達になってからの時間の濃密さが決め手なのさぁー!!」
「フッ…時間は関係無い」
「…ガル」
色々と収拾つかなくなってきているその場に。
「師匠!!早く帰りましょう今すぐ帰りましょう速やかに帰りましょうさぁGO!!」
「うお!?ちょっ、おまっ、部活どーした!?」
「断ってきました!!さぁ早く!!」
「うわー超必死」
「いけませんか!?というかまた何で見代さんまでいるんですか!!」
「ああん?私がいちゃ悪いっての!?このドヘタレが!!」
「ドヘタレ?」
「うわー!!なんでもありませんからー!!」
「…膝枕までしてもらって何もしないとか」
「みっちゃんストップ!!」
「何で知ってんですかー!!」
「………行くか」
無駄にでかい声と聞こえてきたその内容に、勝利を筆頭に立ち上がる男共。
「あいつはあんなんで抜け駆けできると思ってんのか?」
「盗聴する必要も無いのは楽だけどねー…」
「…ガル」
「問題は他にあるがな…」
「洋一の目をこっちに向けさせないとだもんなー」
なんだかんだとぞろぞろとその場所へ。
当人同士の心情を察しつつも。
そうそう諦める事の出来ない男共のチョッカイ出しは、相変わらず続行されるのだった。
作品名:変化と想いと日常と、それからの 作家名:柳野 雫