膝枕
「政宗様、失礼致します。」
日が沈みきらんとする夕刻。
政宗の政務の進捗を伺いに小十郎が政宗の部屋を訪ねた。
「政宗様…?入りますよ?」
返事が無いので、居眠りでもしているのだろうかと思い、小十郎はそっと襖を開ける。
そこには、
「おや、これはこれは。」
妻の膝枕で眠る主人と、夫を膝枕した状態で眠っている姫の姿。
文机の傍に綺麗に整頓されて積んである書面の数々は全て片付いており。
小十郎は笑みを零した。
「お疲れ様でした、殿。」
「しかし、そんな格好ではお二人とも風邪を召してしまいますね。何か、上掛けをお持ち致しましょう。」
そう言うと小十郎は、処理された書面を抱え、静かに部屋を後にした。
end