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マルナ・シアス
マルナ・シアス
novelistID. 17019
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【東方】東方遊神記2

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所変わってここは食卓。守矢神社の住居スペースは台所と居間が隣通しになっている。その居間の卓袱台(ちゃぶだい)には、すでに四人分の昼食が準備されていた。本日のメニューは公魚(わかさぎ。神社裏の湖で釣ったもの。釣ったのは早苗)の天ぷらに切干大根の煮物、ジャガイモと油揚げの味噌汁にほうれん草の胡麻和え、そして冷奴。とても美味しそうだ。そしてその横で大蛙の干物・・・もとい諏訪子がうつ伏せに倒れていた。
「待たせたね・・・って、どうしたんだい?この娘は」
「遅い!!」
「うぉっ」
神奈子が来たとたんそれまで死んでいるようだった諏訪子はガバッとすごい勢いで起き上がり、カーー!!と大声でまくし立てた。
・・・そんなことをしたらいよいよ空腹でまずいことになるんじゃ・・・。
「いったい何を二人でちんたらやってたんだよ!!早苗がみんな揃ってから食べようって言うから我慢して待ってたのに!!神奈子達はお腹すいてっ・・・うぅ」
すきっ腹で大声を出したのがきいたのか、諏訪子はフラフラっと軽い眩暈を起こした。「あぁもう悪かったから、さっさと昼食にしよう。ほら、青もそこに座って。早苗はお茶淹れてくれる?」
「はい」
早苗はお茶の用意をし始めた。
「ねえ!!早苗!!もう食べていいよねっ!?ねっ!?」
「はい、ちゃんといただきますしてくださいね」
「うんっ、いっただっきまーーす!!」
まるで母子のやりとりだ。早苗はお茶の用意をする手を一旦止めて、一心不乱に食べている諏訪子を慈しむように少しの間見た。これはもう愛する者を見る顔だ。そしてまた用意の続きを始めた。
「ちょっと諏訪子、こぼしてる、こぼしてるから!!」
神奈子の言葉は全く聞こえていないのか、食べるスピードは落ちない。むしろ速さが増している。
「元気な諏訪子様はこのくらいがちょうどいいですよ」
四人分のお茶を運んできた早苗が優しい顔で言った。まるっきり母親の顔である。本人の気持ち的にもそうなのか。時には娘になり、時には母親になる。比率としては母親になる回数の方が多そうだが。女として贅沢な身分だ。
「ハグッ、モグッ、ハグッ、むぐっ?むうううう!!」
勢いよく食べ過ぎて喉に詰まらせたのか、諏訪子が顔を真っ赤にして呻いた。
「あぁあぁもうしょうがないねぇ」
すかさず神奈子が諏訪子の背中を叩いてやりながらお茶を飲ませた。慣れた手つきだ。早苗が母親だとしたら、神奈子は父親のようだ。こんなことを言っては本人が怒りそうだが・・・いや、案外早苗と結婚なんてのも悪くないなどと平気で言いそうだ。
「はぁ~ビックリした~。死ぬかと思った」
神様が食べ物を喉に詰まらせて死亡なんて、笑い話どころか永遠に語り継がれる黒歴史だ。
「だれも諏訪子様のご飯を横取りなんてしませんから、ゆっくり味わって食べてください」「はぁ~い!!」
この、まるで家族の団欒風景のようなやりとりを、青蛙神はなんとも形容しがたい表情で見ていた。羨ましそうでもあり、懐かしそうでもある。
(楽しそうじゃな・・・)
蝦蟇と一緒にいた頃のことでも思い出しているのだろうか。
(あの娘は、今頃何処で何をしてるのじゃろうか・・・)
どうやら違うようだ。あの娘?
(そう簡単に死ぬような玉じゃないが・・・存在力が枯渇してしまえばあの娘も危うい。良き相棒を見つけておればよいが・・・またあの綺麗な赤い髪を梳かしてやりたいのう・・・)どうやら、大陸にいた当時、蝦蟇とは別に行動を共にしていた存在がいたようだ。しかも存在力ということは、少なくとも人間ではないらしい。
「どうしたの、青。早苗の料理は口に合わないかい?」
しばらく諏訪子の背中をさすっていた神奈子は、青蛙神の箸があまり進んでいないのに気がつき、手を止めて青蛙神の方へ向き直った。
「あぁっ、すいません、お口に合いませんでしたか?」
「そんなことないよねぇ?早苗のご飯は超美味しいよねぇ~」
物思いに耽っていた青蛙神は、三人同時にせまられて、少々たじろぎながら弁明した。「あっ、いやいや、なかなか美味しいですよ。ただ、昔から自分が食べていた味とは違っていたので、珍しいと思っていたのです。ところで、これらは全てそなたが拵(こしら)えたのか?」
「はい。まだまだ未熟で、修業中なんですが。神奈子様達からも助言をいただきたいのですが、お二人とも美味しい美味しいとしか言ってくださらないんです」
謙遜しているのだろうが、どう聞いても自慢です。本当にありがとうございました(笑)。
「美味いものを美味いと言って何が悪い」
「そうだそうだ」
「ほら。終始この調子なんです。よろしかったら、青様も感想、御助言等下さいませんか?」
青蛙神は目をキラキラさせてこっちを見ている早苗に対し、ヤレヤレ・・・といった感じに軽くため息をついた。
「そなたの作る料理は御二方が仰る通り確かに美味い。そなたに悪気がないのはわかるが、謙遜も度が過ぎれば嫌味になる。驕らずに精進する姿勢は立派だが、もう少し自信を持ってもよいと思うぞ」
「はぁ・・・そう言っていただけるのは凄く嬉しいのですが・・・」
青蛙神はいまいち納得のいっていない様子の早苗にはもう何も言わず、食事にもどった。気がつけば他の三人はすでに食事を終えていた。