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Eternal White

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今年の冬は、近年まれに見る厳しさで。雪深い山間の集落では、あっという間に冬の備えが尽きてしまったという。
 事前に豪雪に対する注意は通達していたものの、実際に降ってみないと実感しない者も多いのも事実。結局、雪に閉ざされ悲鳴を上げる村落が無数出てしまった。
 ビーレフェルト地方もその例に洩れず、幾つかの村で連絡が途絶えた。骨飛族を飛ばし調査をしてみれば、半数以上の村が物資不足の危険性を帯びていた。
 何のための事前通達かと、苦々しい思いで舌を打つ。かといって放置するわけにもいかず、フォンビーレフェルト家は幾つもの部隊を編成し、閉ざされた地へと物資を運ぶ。
 元々、ビーレフェルト地方は温厚な土地柄。
 冬の厳しさなど、長老クラスでなければ実感したことがないだろう。ヴォルフラム自身、王都暮らしが長いせいもあって、雪深い暮らしなどあまり想像が出来ない。村の者だってそうだったのだろう。
 だから、結果的に通達を無視した。


「今日は雪が止んだんだ。久しぶりじゃん」
 久々の晴天。しかし血盟城でも先日までの積雪で身の丈ほどの雪が積もり、普段雪を見ることがないというユーリが感嘆の声を上げていた。
「本当に。今年は何十年ぶりかの厳冬ですよ。この城でこんなに雪を見るなんて……」
 溜息混じりにギュンターがぼやく。その彼の手には各地からの報告書が届いており、城内も各地から寄せられる悲鳴混じりの嘆願書で溢れている。
 もっとも、眞魔国は十一の地方で区分されていて、そのうち十の地域は十貴族が治めている。だから、血盟城で実質面倒を見なくてはならないのは、魔王直轄である一地域のみなのだが、実際にはそういうわけにはいかない。
 血盟城勤めの兵士は半分ほど十貴族から派遣されている、各家直属部隊。彼らは自領にトラブルが起きれば引き上げていく。元々豪雪地帯を多く抱えるフォンロシュフォール家の部隊は、冬が始まる時にはもう引き上げを完了させていた。それぐらい今年の冬は危険だと、早い段階で危ぶまれていたのだ。
 夏は涼しく、秋の実りはお世辞にも豊かでなかった。
 渋谷有利が魔王になってから、はじめて迎えた厳しい一年。
 眞魔国とフォンヴォルテール家の両方の面倒を見るグウェンダルの目の下のクマは、秋口から取れることはなかった。ユーリ自身も、眞魔国に来る回数が例年に比べ格段に増えた。
作品名:Eternal White 作家名:架白ぐら