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こわれもの(サンプル)

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「今日だけ、一日だけでいいから静雄の助手になってくれねぇか?」
「えっ?」
「トムさん!?何言ってるんすか?」
 静雄が驚いてバッグから手を離すと、帝人は糸を失った操り人形のようにその場に座り込んだ。
「今日の問題は距離だけだから俺とヴァローナ、静雄と竜ヶ峰の兄ちゃんの二組に分かれれば余裕で回りきれる。それに、この兄ちゃんとだったらお前もキレねぇだろ。簡単な所だけ任せるから今日だけお前ら二人でコンビ組んでくれねぇか?」
「でも‥」
 押し寄せる予想外の発言の数々に二人の頭は混乱していたが、トムは帝人に向って合掌すると「もちろんバイト代もはずむから」と笑って付け足した。
 最初、帝人は迷っているようだったが、不安げな静雄の表情を横目に見ると、強い口調で「やらせて下さい、田中さん」と頭を下げた。
「よろしくな。あと呼び方、トムでいいから」
「あっはい、よろしくお願いします。‥トムさん」
 その後、仕事内容と静雄に関しての簡単な注意事項や説明を受けた帝人は、トムから地図と資料、携帯とICレコーダーを手渡された。
「分かんない事があったら、行きながら静雄に聞いてくれ」
「分かりました」
「静雄、よろしく頼むな」
「‥はい」
 丁寧に「行って来ます」と頭を下げる二人をトムは手を振って見送った。
―――今の静雄には、ちょっと早かったか?でもまあ…
 トムは小さく「あの兄ちゃんとなら、大丈夫だろ」と呟くと、二人の姿が小さく見えなくなるまで背中を見守っていた。
作品名:こわれもの(サンプル) 作家名:伊達