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晴れでも雷

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―バチッ―
大きな音と共に青い光が放たれ、電気が触れた部分から幸村に伝わる。まるで触れることを拒絶しているかのようだ。直ぐに離したにもかかわらず僅かに残る痺れに幸村は、驚きを隠せないようだ。自分の手を見つめ、2,3度拳を作っては開いた。何故今となって触れただけで拒絶されたのか。・・・嗚呼、そうか。
「てめぇ、素手で触りやがったな?」
「ぬ、政宗殿・・・」
先ほどまで眠っていた政宗が目を覚ました。寝起きとは思えない、鋭い視線が幸村を刺す。だが、幸村は動じない。視線を逸らさず、政宗を見返していた。
「アンタが床を用意した事には感謝するぜ?だが、今のオレに気安く触るな」
目を逸らし、突き放すような台詞を吐きながら上体を起こす。それを支えようと幸村が手を伸ばした。
「やめろ!!」
あと少しで触れるかという時、幸村の手が止まる。大きく目を開いて吃驚した様子を示したが、それは一瞬の事だった。きょとんとしたかと思えば、目を柔らかく細める。
「政宗殿は優しいのでござるな」
「Ah?」
外されていた政宗の視線が幸村に戻る。
「某は政宗が優しいと申しました」
「ハッ・・・どこが」
繰り返して告げられた言葉を、政宗は嘲ることで否定した。突如、彼の手首が掴まれた。再びバチッと音がする。今度は幸村が手を離そうとはしないため、雷鳴が轟く。稲光が触れているところから見られた。少しして、どこからか焦げ臭さが漂う。その臭いに政宗はハッとして幸村の腕を振り払おうとする。だが幸村の手は政宗の手首をしっかりと捕らえ、離さない。また、緩める気配もない。
「アンタ、自分が今何してんのか分かってるのか?・・・竜に触れてただで済むと思うなよ」
「それは政宗殿の方であろう」
「なんだと?」
政宗の眉がピクリと動いた。
「人を護るために己を傷つけているではないか。」
「オレは誰も護っちゃいねーし、オレ自身を傷つけているつもりもねぇ。・・・っ!」
淡々と述べる政宗の顔が歪む。幸村が彼の手首を掴む力を強めたようだ。締め付けるような音が、轟く雷鳴に混ざる。
「そうか。だが、俺にはそう見えたのだ。今のように俺が雷に焼かれるのを止めるために、自身に触れさせようとしなかった。独りであろうとした。・・・違わぬであろう?」
「・・・・・。」
「沈黙は肯定とみなすが・・・」
政宗の口から返答されるまで手を開放するつもりは無いのだろう。手はそのままで、政宗の瞳を覗き込む。
「違う」
「まだ否定するのか。・・・何故目を逸らす?」
「別に。アンタの目が見たくないからだ。いいだろ、離せ」
言いながら手を自分に寄せる。今度は簡単に振りほどけた。この時、幸村の手が黒く焦げているのが見えた。政宗は舌打ちをして幸村の腕を取る。着物越しだからか、放電される事は無かった。
「アンタ、crazyな奴だぜ。無意味に焼かれてどうする」
「無意味ではない。意味はある」
「・・・言え」
言ってから政宗は後悔した。幸村から放たれた次の言葉を聞いて。
「政宗殿から触れてもらった。離れるのは嫌だと言わんばかりに。これは俺が看病することを政宗殿自身が求めたと思えよう」
満足そうな笑みを浮かべている幸村。政宗は呆れた様子だった。
「Shit!そういうことか。・・・好きにしろ」
「そうさせていただく所存にござる」
大きく頷き、太陽のような明るい笑顔を政宗に見せた。政宗はそれを見ると、フイと顔を背けた。
「アンタのようなヤツは初めてだ。・・・HA!同じようなヤツがいたら困るか。いや、居てたまるか」
目だけを幸村に向ける。しかし、項垂れてしまったために彼の顔はよく見えない。
「・・・アンタだけで十分だ。嫌いじゃないぜ?真田幸村」
言い終えた瞬間に幸村は顔を上げた。満面の笑みを浮かべて。そして両腕を広げる。
「某、幸せにございますぞ、政宗殿ー!!!!」
「待て!来るな、真田幸村っ!!」
全身で政宗に抱きつこうとする幸村。逃げようとするにも一足遅かった政宗は、幸村の腕の中に閉じ込められた。その瞬間
―バチッ!!!!―
今までで一番大きな音をたて、部屋中が青白く光った。
「痛いでござるーーーー!!!!」
「いっーー・・・・!!!!」
二つの大きな声が、小さくはない部屋から外に響き渡った。

  ―おわり―
作品名:晴れでも雷 作家名:ギリモン