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ぎとぎとチキン
ぎとぎとチキン
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果実の話

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最近、帝人君が異常に俺の乳首を触ってきます。
何故だ。


俺と帝人君がお付き合いをする関係になったのは、今から半年前。
手を繋ぐまで一月、キスをするまで更に一月、ディープなキスをするまで、更に一月。
セックスをするようになったのなんて、つい二月前からだ。
人間=観察対象でしか無かった俺は、はっきり言って今まで手が早かった。
いや、だって、ヤらしてくれる、っていうか、ヤってくれって、相手から言ってくるんだもの、仕方ないじゃない。
こんな言い訳はしたくないので(恰好悪いから)、帝人君に過去の性遍歴を聞かれない事を祈る。
そんな訳で、帝人君と昨夜めでたく10回目のセックスをした。
帝人君と会えた日はハートマーク、セックスをした日は花丸を書いているので、回数は確か。(別にそうじゃなくても脳内花丸つけてるから覚えてるけど)
それで、帝人君がやたら俺の乳首に触ってくるようになったのが、7回目からかな。
セックスの時だけじゃなくて、なんか後ろから抱きついてきた時とかも、触ってくる。
え、誘ってるの?と思って押し倒そうとしたら、はっ倒されました。(避けられるけど、円満な恋人関係を築く為には、避けない方が吉、と学んだ)
これって、どういう事だろう。
誘っている、訳じゃない。(何しろはっ倒してくる帝人君の顔が冷たかった)
愛撫、という訳でもない。(だって愛撫だったらセックスの時だけだろう?いや俺はいつでもどこでも愛撫したいけど)
では、なんだ。
現在俺は、とあるビルの屋上でお仕事中。
なんで受け渡し場所に屋上を指定してくるのか、信頼してないって事?(お仕事はちゃんとこなしますよ、俺は)
というか本来なら帝人君と甘い週末を送るはずだったのに、本当爆発しろあの依頼人。
思考が逸れている内に、お仕事終了。
本当全然別の事考えてても完璧にお仕事出来ちゃうなんて、俺天才!褒めて褒めて、と帰ったら帝人君に撫でて貰おう。
そう決意しながら、仕事相手が帰るのを待つ。
それにしても、帝人君だ。
何か、俺に訴えたい事、求めたい事でもあるのだろうか。
はっきり言って帝人君が初恋の俺は、帝人君に対してすごく甘い自信がある。
あの子は遠慮深いから我儘や何かを強請ったりとかは無いけど、そこはそれ。
これでも人間観察を趣味にしているので、人の感情の機微には敏いつもりだ。
なので、彼の好む飲食物を与えたり、物を与えたり、とにかく、帝人君が望むなら、どんな事だってしてあげたし、これからだってそれは変わりない。
じゃあ、何が不満なんだろう。
そこまで考えて、ふと、一つの可能性に思い至った。
もし…かし、て…。

「………攻める側に、回りたい、と…か……?」

言葉に出した途端、というか、脳内で受ける側に回る自分自身を想像した途端、俺は屋上から飛び降りた。
衝動的な物だったのですぐに我に返ってパルクールを使い事なきを得たが、それでも。
気持ちが悪かった。
正直、とんでもなく、とてつもなく、過去類を見ないくらいに(ああそうだ嫌がらせにシズちゃんに女装させようと想像した時レベルだな、これは…)気持ち悪くて、辛抱溜まらなく、吐いた。
比喩でも誇張でもなく、便器(近くにあったコンビニのトイレだ。間に合わなかったら大惨事だったな…)に身を乗り出して、げーげーと、盛大に吐いた。
無い。これは、無い。
必死に攻める帝人君は可愛らしいだろう、それは良い。
問題は、アンアン喘ぐ自分だ。(うっ、また吐き気がこみ上げた)
もう一度言うが、無い。これは、絶対、無い。
基本的にノーマルな男が、攻め側ならともかく、受け身側になるって…、想像するだけでも凄いダメージだ。
俺の帝人君、すごい。流石だ。愛してる。
ああ、しかし、本当にもし万が一仮に帝人君が、攻め側に回りたいとしたら。
俺は、どうすればいいのだろうか。
愛する恋人の願いは叶えてやりたいが、なんといっても想像だけで吐くレベルだ。
実際に事に及んだりして、帝人君を吐瀉物塗れにする事なんて、出来ない。
抑吐剤は効くだろうか、いや、安心できない、そもそも抑吐剤なんてプラシーボだ(偏見)、枕元にタライでも用意しておかないと…。
それか、睡眠薬を致死量ギリギリまで飲んで、その間に、とか…。
思考を巡らせながらも、何度も吐き気がこみ上げて、便器に吐いた。既に胃液しか出ない。
ああ、だめだ、どうしようもない。
確認をして、対策をしなければ。
俺はようやく水を流してトイレを出ると、手を洗って、ついでに口と顔も洗って、店内に戻る。
正直駆け込んでしまったので、店員が変な顔をしていたが、帝人君の好きそうなお菓子、あと酒を大量に買う事で、お詫びとする事にする。
正直、そんなのに構っている余裕は無い。
俺はドラックストアに寄って抑吐剤を購入すると、すぐに一緒に買ったミネラルウォーターで飲み込む。
帝人君の前でぶちまけるのは、なるべくなら避けたい。
しかし、事と次第によってはそれもやむなしという事になるだろう。
なにしろ、俺は、帝人君を愛しているのだから。

作品名:果実の話 作家名:ぎとぎとチキン