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マルナ・シアス
マルナ・シアス
novelistID. 17019
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【東方】東方遊神記3

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「太陽神の力?」
神奈子達は少し思い当たることがあったので、三人とも身を乗り出した。
「当時私は、もう実体化することすらままならないほど存在力が低下していました。ですが、その時にはもう戦うことばかりに明け暮れる人間に嫌気がさしていたので、このまま消えてしまおうと思っていました。しかしただ消えるだけじゃつまらない。死に際の酔狂にはちょうど良いと思って、小さな島国のくせに大日本帝国などと言っている日本に行ってみようと思ったのです」
青蛙神は乾いた喉をお茶で潤し、さらに続ける。
「そして、無くなってしまった力を無理やりしぼって、やっと日本についた丁度その時、私は見たのです。鉄の大鳥が、太陽の欠片を日本に落とすのを・・・」
彼女の言う太陽の欠片というのは、おそらく原子爆弾のことだろう。広島と長崎の二か所にそれぞれ一発ずつ投下され、二十万人近くの死者を出し、また当時から数十年経った今でも、原子爆弾から放たれた膨大な放射能によって汚染された人々が年々亡くなっており、今やその数は三百万人を超えているという。
「あれはもう人間ができる所業じゃない。三足烏の力でも使わなければ到底できないものじゃ。しかし、神聖なる太陽の化身である三足烏が、信仰者となりうる人間を大量虐殺するような真似は絶対にしないはず。だとすれば導き出される答えは一つ。人間が自らの手で神の力にも匹敵するようなものを、科学の力で作り上げたということじゃ。それも、同族である人間を効率良く、大量に殺すことを目的として」
語り続ける青蛙神の顔は、怒りから真っ赤に上気し、体全体もブルブルと震えている。
「三足烏・・・八咫烏(やたがらす)・・・まさかっ、核融合の力かっ!!?」
三本足の鳥というのは、顕界では太陽の象徴として信仰されており、日本や中国に限らず世界各地で同じような伝説が残っている。神奈子達は河童の技術屋達と共に、幻想郷の技術革新と銘打って、八咫烏の力を利用した核融合の力の研究をしていた時があった。これが、幻想郷で最も最近起きた異変(事件)、『間欠泉怨霊噴出事件』の発端なのだが、このことについては後述する。
「そんなっ、嘘だよっ!!だって神奈子、核融合の技術は人間が作り出すのには少なくても百年は先になるだろうって言ってたじゃん!!」
これは完全に神奈子の読みが甘かった。顕界人はこれから先、神や人外の者から見て星の瞬き程度の短い時間の中で、様々な技術を生み出していく。それこそ、まるで神様のように。因みに、正確に言えば、この時顕界人が実用化に成功したのは核融合の力ではなく、核分裂の力である。核融合の実験は、この時から数十年たっても一度も成功していない。「なんてことだい・・・顕界の人間は、もうそんなところまできているのか・・・」
「人が・・・人を効率良く、大量に殺すための力・・・」
早苗は今の話を聞いて、自分で自分を掻き抱き、全身をぶるぶると震わしていた。
「私は思いました。こんな、力の使い方を大いに間違っている人間どもは、いずれ自らの手で滅ぶであろうと。自分は、滅びゆく人間の姿を目の当たりにする前に逝けるのは幸いじゃと。そして、未だ爆風と噴煙の晴れぬのを見ながら静かに最後の時を待っていたのです。そしたら、どこからともなく女の声が聞こえてきたのです」
青蛙神はその時のやりとりを事細かに説明し始めた。