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ある日の来良学園校門前

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臨也にとって、自分の情報調査能力をここまで他人に尽くすためだけに使用しているのは初めてのことだった。
そして、それが何よりも楽しいだなんて、以前の臨也ならば全く考えられないだろう。
帝人に会う前の臨也が今の臨也を見たら「何やってんの?俺。意味わかんない」と言うだろう。
変わった自分が面白くもあるが、誇らしい。
帝人に関わって自分が変われるなんて、まるで帝人の色に染められているようじゃないか。それに歓喜しないなんてありえない!
自分の能力もだが、それ以上に自分の時間を誰かのためにここまで割けるなんて知らなかった。
前に帝人は毎日校門で待っている臨也に「臨也さんは暇なんですか?」と聞いたことがある。
自由業なので、普通の会社員と比べると時間は自由に出来る。
だが、暇かと問われれば暇ではない。
ただ優先順位を付けただけだ。
今の臨也にとって、平日の16時~22時(どんなに遅くなっても帝人は22時過ぎまでは付き合ってくれない)と祝土日を空けて帝人に会いに行くことが最優先事項だというだけだ。
帝人が委員会で遅くなっている時は携帯電話を駆使して仕事を片付けているし、最優先の時間を空けるために他の時間は今まで以上に早く物事を片付けるようにしている。
そのことを帝人が知る必要は無いと臨也は考えている。臨也が好きでやっていることだから。
むしろ、暇だと思ってくれていたほうが帝人はきっと付き合ってくれる。
忙しくて、寝る時間を削って帝人に会いにきていると知ったら、帝人は「帰って寝てください」と言うだろう。
優しいんだから、帝人君は。とふにゃん、と形容できるような顔をしそうになった臨也だったが、帝人の次の言葉で普段どおりに戻る。

「臨也さん?早く行きましょうよ」

帝人君の前だというのに、自分の世界に入っていたようだ。何たる失態、と臨也は軽く反省する。

「楽しみですね。焼き鳥!」

そう言う帝人を見て臨也は思ったことを言う。

「帝人君」
「はい、なんですか?」
「好きだよ。君に恋焦がれて俺は今日も幸せだよ」

今日、初めての愛の告白を。
臨也は帝人を好きだと思った瞬間にその時思った言葉で告白をする。
しかし、臨也の告白を聞いた帝人の返事はいつも同じだ。
さて、今日は一体何回言うことになるのだろうか。


「ありがとうございます。僕は臨也さんのこと、嫌いじゃないですよ。」


帝人の返事が変わるまで、あとどのくらいかかるかはまだ誰も知らない。
作品名:ある日の来良学園校門前 作家名:彼方