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一緒に帰ろう

「言ってごらん。ゆづる、って」
「……ゆゆゆ？」
「ゆづる、だよ」
「ゆ、づ？」
「ゆ・づ・る」
「ゆづる？」
「そうそう」
　思わずその髪を撫でてやる。自分とは違う色の髪は、自分よりもっとやわらかいような気がした。
「君は？」
「のだ」
「のだ？」
「うん」



【一緒に帰ろう】
高校生音無さんが５歳児の迷子野田君を拾うお話。
初めて会った気がしないのはどうしてか………考えて、音無が思い出したこととは？



「おれは、わすれなかった」
「うん」
「わすれそうになったけど、『さがしてる』ことはわすれなかった」
「うん、ありがとう」
「……おもいだしてくれたから、いい」