セオリー（短編集）
お泊りとちゅう
「葉月ちゃん葉月ちゃん」
「なんですか？」
「ちゅー」
「武藤さん、酔ってる？」
「うんにゃ。ていうか葉月ちゃんも酔ってるでしょ。だからちゅー」
「や、全然だから、になってないから」
「葉月ちゃん、ちゅうー」
「チュウチュウ言ってると、また浦安方面のあれになりますよ」
「……うっ」
「え、私が悪いの？！」
「葉月ちゃんー……」
「………………」
「………………」
「あれ？」
「ん？」
「今の、何」
「真顔で聞かないで下さいよ……」
「え、でも今の」
「ご所望のちゅーです。ていうかもう寝ましょうよ。はい、おやすみなさい」
「葉月ちゃん！」
「うわ、な、何っ？！」
「そっち行ってもいい？」
「……何もしないで下さいね」
「……ごめん」
「おやすみなさい」
「あ、やっぱり何もしない！何もしないからこっち向いて！！」