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【コナン*パラレル】 夏の暑さは、 【快新】

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こんこん、と軽いノックの後、黒羽君と呼ぶ声がした。
大概はノックもせずに突然ドアを開けるような連中ばかりの中、
そんなお上品なことをする人間は限られている。

開いてるぜ、と声をかければお邪魔しますとやっとドアを開けて
入り口付近で立ち止まる。
毎度の事だが本当に礼儀正しいヤツ、と感心を通り越して呆れた。

「別に勝手に入ってきてもいいのに」
「…ノックは常識です。親しき仲にも礼儀あり、と日本では言うのでしょう?」
「そりゃそーだけど」

きょとんと当り前のように言う彼は所謂帰国子女。
日英ハーフの白馬探は長身と色素の薄い髪と瞳、丁寧な物腰にフェミニストを地で行く。

おまけに自分にも他人にも厳しい――単に負けず嫌いなだけだと快斗は思っている――彼は
発音も使い方も日本人より流暢に日本語を操る。

けれど変なところで常識知らずで世間知らずなお坊ちゃま体質が抜けず、
時折周囲に呆れられている。

(しかもコイツかなり頑固者で口うるせぇんだよなー)

伝統と格式の国、英国で育ち、その上彼を育てたのが大層年配の世話係だというのだから
それも仕方が無いのだろう。
真面目で融通が利かないが、彼の素直で真っ直ぐな気性は嫌いではない。

「黒羽君、そんな体勢をしていると腰を悪くしますよ」
「……じじくせぇ」

嫌いではない…が、少々苦手ではあった。

「……また伊角先生のところに行っていたんですか?」
「んー」

いつの間にかそばに来ていた白馬が、快斗の前髪をかき上げる。
癖毛だが柔らかい髪の感触が心地良いのか、白馬は時折こうして快斗の髪を梳く。
あやすような、癒すようなその手の動きに苦笑いが浮ぶが気持いいのも事実なので
好きにさせている。

けれど、こうして甘やかされているとダメになりそうだと頭の冷静な部分が警告する。

「俺、お前の事…すげぇ好き」
「僕もですよ」

勿論青子くんの次に、と笑いながらよしよしと撫でられる。
その言葉があまりにも自然で、自分が何を言ったのか、そして何を言われたのかを
自覚する前に、突然聞こえたカタンという音に振り返る。

まず飛び込んできたのはうつくしい青。
この世のどんな宝石よりも希有な輝きを宿した双眼。
次にすらりとのびた足から、特徴的なヘタのような髪まで眺める。
そして漸く、彼の整った顔を見つめて新一だと認識した。

(しんいち? え? 聞かれた? 待って、俺、何話してたっけ?)

「しん、いち…」
「…おう、白馬来てたのか?」
「え、ええ」
「つか、何二人して固まってんだ? そろそろ飯行くぞ?」
「え? そんな時間?!」
「さっきから服部がうるせぇんだよ」

早く行くぞ、と促す彼はいつも通りで、浮んだ疑問は霧散してしまった。

何故そこにいたのか、
何を聞いたのか、

問いかける隙も無いのは、何故なのか。
その事に気付かないまま快斗と白馬は肩の力を抜き、談笑しながら廊下を歩く。

「今日の飯何?」
「確かミックスフライ?」
「楽しみですね」

途中で服部と合流した。
食堂に入ると自然に誰が言い出すでもなく、新一と白馬が席を取り、
服部と快斗が四人分のトレイをとりに行った。

いただきます、と四人が同時に言い、服部はかき込むように豪快に、
白馬は優雅な箸使いで静かに食べる。
いつまでたっても変わらない対照的な二人の食事風景に笑いながら
快斗と新一もいつもの様に食べ始めた。



今日もまた、一日が過ぎていく。




*************

学パラ設定。
とりあえず白馬君が好きです。
でもNOT白快。
あくまで織田は快新ラバー。
でも白馬君が好きです。
しかたない!