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かなや@金谷
かなや@金谷
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無薬旅行(いらずとび)【池袋大戦発行】

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 訝しげに問いただす青葉の言葉に、帝人は顔を赤く染めながら真剣に恥じらっていた。大胆な所もあれば、帝人はその外見通りに純朴な面を伺わせる。臨也からすれば、余程先程までの言動のが恥ずかしいと思うが、彼には今の方がしそう思うようだ。
「邪魔じゃないですか?」
「どうして?」
 当然の言葉に、解らないと言いたげに即答された帝人の疑問に口惜しいことだが、臨也と青葉は顔を見合わせた。
「俺と帝人君の記念すべき日だよ。二人きりじゃないと」
 確かに面白い状況ではあるが、臨也としては流石に二人きりで過ごしたかった。そもそも、まだ肉体関係を結ぶ気はなかったし、するとすれば最も効果的なタイミング狙う計画を立てていた。
 それを他に妨害されるなら予想はしていたが、まさか帝人本人に崩されるとは思わなかった。そして、交わった後で青葉に見せつけるのも良いと考えていたが、それがこうも早く訪れるとは思わなかった。
 まだまだ予想のつかない事が多い、そうで無ければ楽しくはない。
「うーん。でも、もう三人でって決めてしまいましたから」
「決める?」
 『統計』から帝人が作りあげたプランには、青葉が含まれているらしい。何処の『統計』にもその数値は出ていないだろうに、帝人は『統計』という彼が創り上げた理想を貫徹しようとしている。
「はい。そういうことにしたいので、いいよね? 青葉君。おねがい」
「はい、先輩」
 不服そうな顔はするが、それでも帝人がお願いと口に出せば青葉は直ぐに承諾した。
「そうだ。青葉君、お願いがあるんだけど……」
「なんですか?」
「今晩いいかな?」
「なにか用ですか?」
 臨也の目前で並んで座りながら、何か企みでもするかのように二人は耳元で囁きあっている。
 こうして二人が身を寄せ合っている姿は、仲の良い兄弟、いや今は兄妹に見える。臨也を含めた三人を兄とその弟妹だと称したのは、この店の店員だが解らなくもない。
「うん。そうなんだけど、僕初めてだからよく解らないからさ……」
「…………。」
 そんな弟妹達の会話は、臨也の実の妹達と同様に不穏な会話を繰り広げている。
「必要なモノとかネットで調べようって思って」
「そうですか」
 もう何度目かの溜息を青葉は零している。他人に相談することでもないというのに、これほどまでに青葉を帝人は信用しているのか、それとも逆に彼のことをなんとも思っていないのかそのどちらかでしかない。
「あの……、帝人君。そういうことはお兄さんがするよ。君たち成人してないし、ね」
「ありがとうございます。でも、僕自分でも調べたいんです」
「そうかい?」
 何を用意してくるのかは気になるが、臨也としては純真で何も知らない帝人の方が好みなのだが、彼は自ら準備していと言い張っている。それに青葉を伴うというのだから、帝人自身はまだ一人では調べていないのだろう。
「はい。でも、臨也さんはゴムだけは用意して下さりますか?」
「構わないけど」
「良かった。僕じゃサイズ解りませんし、アンケートでも彼氏に用意して欲しいってありましたから」
「そうなんだ。まあ、他にも何かあれば俺に遠慮無く言うんだよ?」
「はい、ありがとうございます」
 その程度のことは造作の無いことだが、あれほど色々と準備をすると帝人が言い張るのだから、男として臨也を抱く側に回りたいのだと思っていた。
 男として、自らが女役に回る可能性は余り考えないだろう。ないとも言えないが、帝人の中では彼は抱かれる側になると決まっているようだ。
 どうして帝人がその選択をしたのかは気になるが、何事にも適応し、行動力もある帝人だが能動的ではない。絶えず受け身に回る彼らしいと言えば、彼らしい。
「それじゃ、俺はそろそろ時間だから行くよ」
「あっ、すみません」
「いいよ。二人はゆっくりしていきなよ。支払いはしておくからさ」
 中々今日も楽しいデートだったが、仕事の時間が近付いている。遅れるわけにはいかないものなので、名残惜しいが机の上の伝票を拾い上げ立ち上がった。
「すみません」
「ごちになりま~す」
「君には奢りたくないんだけどね」
 律儀に頭を下げる帝人と、可愛らしい仕草はするが、その声には感情は籠もっていない青葉の側を擦れ違い様に呟けば、睨み上げる視線と目がかち合う。
「何か言いましたか?」
 一人渦中の中心でありながら、台風の目のごとく平穏な帝人は二人のやりとりに首を傾げている。
「うん? なんでもないよ。来週の金曜日ね、詳しくはまた」
 臨也は帝人にはいつもの笑顔で微笑むと、彼もまた口許を綻ばせた。
「はい」
 と少し照れたように呟くと、小さく手を振っている。そして、その背後には形相の悪い少女が、手を振る少年の肩に手を置いている。可愛らしいのは外見だけだと、二人を見つめながら臨也は店を後にした。


※という感じで始まるお話です。