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ペルソナ2 周防兄弟SSまとめ

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境界




 行き来をしていると時々境界線が曖昧に見える時がある。
 折角リカームで蘇っても回復が間に合わなかった時とか、繰り返し何度もあちらとこちらを行き来していると、時々僕はどこにいるのだろうと思う。
 意識と無意識の狭間にいるのか、それともはっきりとした意識を持って現実世界にいるのか、無意識の奥底で眠っている自分が見ている夢ではないだろうか、とか。
 いやそれならきっと僕はもっと幸せそうに暮らしているだろうし、少なくとも悪魔と戦っているなんてことは夢でも思わないだろう。
 意識と無意識の狭間なら金色の蝶に文句を言われるはずだ。従ってここは現実世界で僕は今目の前にいる悪魔と戦っているのが本当なんだろう。
「兄さん!」
「え?」
 ドンと背中を押されて前のめりに膝をつくと頭の上を何かがかすめた。
「ぼんやりするな!」
「あ、ああ…済まない」
「済まないで済んだら苦労はしないんだ!」
 振り返ると刀をしまいながら弟は怒鳴り散らしていた。こんなにも怒鳴られたのは久しぶりだ。
「あんたが死んだら、困る」
「え?」
「こちら側の俺が、怒る」
 ああ、と短く返事をすると弟――正確には違うのだが――はまだ不満があるようでぶつぶつ文句を言いながらもそっぽを向いてしまう。
「達哉」
「何だ」
「死ぬって、どういうことなんだろうな」
「……さあな」
 一瞬驚いたように僕を振り返り、達哉は何か言いたそうな顔をした。
 僕は達哉が口を開く前に前へと歩き出す。
 僕らは死の疑似体験を繰り返しているに過ぎない。痛みも、苦しみも全て繰り返し繰り返し、幾度も体験出来てしまう。本当の死を知らず、金色の蝶に導かれるままに生と死を繰り返す。
 僕はどこにいるんだろうか。死の恐怖は、隣にはない。


罰克哉