GUNSLINGER BOYⅠ
いっそ君と
ベッドに仰向けに横たえられた帝人は聞いていた通りに片腕が無く、片目は包帯で塞がれ、顔は青ざめていた。
それを見て、やっぱり会いになんてこなきゃ良かったとわずかに後悔した。
大切な者の痛々し過ぎる姿に、涙だの吐き気だのがこみ上げてくる。
『僕は人間じゃありませんから、壊れても直してもらえるので平気です』
しかしその度に、元々短い彼の寿命は確実に減っていく。
義体が二十歳までもった例は無い。
出会ったころ12歳だった帝人は16歳になった。
義体は5年過ぎごろから劣化が早まり、今までの最長が7年だ。
あと・・3年。
「帝人くん・・・・」
頬に触れてみると死んでいるように冷たかった。
帝人くんが死んだら、また他の義体の担当にまわされるんだろな。
どうしよう。そんなのいらないしな。
いっそ今のうちに心中した方がいいのかな。
でもそんなこと言ったらどうせ『バカじゃないですか臨也さん』って言われるし、
帝人くん強いから俺じゃ殺せないし。どうしよう。
ぐるぐると考えながら短い髪を手ですいているとピクリと帝人の包帯の巻かれていない側のまぶたが動いた。
青い瞳が虚ろに臨也を見つめる。
「臨也・・・さん・・・?」
「帝人くん・・・っ!良かった、今、俺と君の今後について真剣に考えてたんだけど、」
そう言う臨也を見る帝人の瞳が驚いたように大きく見開かれた。
「臨也さん・・!?その、怪我・・・」
「ああ、別に大した事な・・」
「だ、誰にやられたんですかっっ!!」
帝人は何箇所かをチューブで繋がれたままの体をがばっと無理に起こそうとした。
しかし片手を失った体ではバランスが取れず、臨也の方へ倒れ込む。
「帝人くん!?」
「殺さ・・なきゃっ!臨也さんを・・傷つけた相手を・・っ!!」
「帝人くん、落ち着いて!」
「でもっ!!」
臨也は帝人を抱きかかえたまま、尚も何事か叫ぼうとする唇を塞いだ。
途端に、暴れていた帝人はピタリと動きを止めた。
「・・・いざや・・・さん」
「俺は平気だよ。君がいれば」
ねぇ、やっぱり一緒に死のうか。
作品名:GUNSLINGER BOYⅠ 作家名:net