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GUNSLINGER  BOYⅠ

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まるで君は



義体の寿命は最低5年、希望的観測で7年といわれている。
臨也が帝人の担当官になってから既に四年経つ。

人工の体を持つ義体は脳死をもって死となる。
体の部位は損傷しても取替えがきくが、薬物等、大量の痛み止めや投薬により脳への負担は蓄積される。時が経つにつれ、健忘症や味覚障害などがあらわれ視力が低下し、最終的に脳の機能が停止する。
帝人にも徐々にその傾向が現れ始めた、矢先のことだった。



「新羅、」

不意に呼びかけられ、岸谷新羅は見ていた資料から顔を上げた。
振り向くと松葉杖をついた旧友がこちらを睨みつけていた。

「帝人くんは?」
「臨也、君まだ動かないで寝てた方がいいと思うよ」
「うるさい黙れ。帝人くんはどうしたか聞いてるんだ。答えなきゃ殺す」

物騒な発言をする友人にため息をつくと、新羅は手にしていた資料を臨也の方へ向けた。
人の形をした図に沢山の書き込みがされている。

「右腕欠落、左腕複雑骨折。腹部損傷、あと、左の眼球も取替えなきゃいけない」
「・・・・・」
「安心してよ。頭は無事だから。義体の頭蓋骨は本当に丈夫だ・・。
 感謝するんだね。帝人くんが庇わなかったら今ごろ君はミンチだっただろうよ。
 どんなに条件付けされた義体でも真正面から金属片積んだトラックで突っ込まれたりしたら頭を庇ってしゃがんじゃうもんなのに、彼はそうしなかった」
「・・・・・っ」
「そんな、僕に殺意のこもった視線を向けてもしょうがないだろ。
 なんなら会ってみる?まだ修復しきってないし意識も無いけど」

赤みがかった瞳で射殺さんばかりに睨み付けていた臨也の顔が情けない感じに歪む。
臨也のこんな表情を見たことがあるのは自分と帝人ぐらいのものだろう。
臨也はうなだれたように小さく頷いた。

「・・・会う。」
「じゃ、ついてきて」


公社内の人間のほとんどは義体を仕事の道具とみなしている。そう割り切った方がスムーズにことが運ぶし、何より罪悪感を覚えずに済む。
しかし、子供達の体を義体化する工程の最初から最後までに携わる新羅には義体達それぞれに思い入れがある。
彼らにもそれぞれ得意なことと苦手なことがあるし能力値も性格も違う。
怪我を負った場合に強く自己主張する者もあれば迷惑をかけまいと隠してしまう者もいる。
それらを理解しないと義体のメンテナンスは難しい。自我を持った彼らはやはり機械とは違うのだ。

帝人は、自己主張はあまりしないタイプだ。
肉弾戦はあまり得意ではないが元々頭は良いし状況判断能力が際立って高い義体だった。
そんな彼が旧知の仲である折原臨也と組むと聞いた時にはひどい扱いを受けないか非常に心配したものだが・・
事態は予想外過ぎる方向へ進んだ。

あの臨也がねぇ・・・・・

こんな、まるで普通の人間みたいな表情をする日がくるとは、誰が予想できただろう。





作品名:GUNSLINGER  BOYⅠ 作家名:net