二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

小さな花~白詰草~

INDEX|4ページ/5ページ|

次のページ前のページ
 

 赤く染まった太陽が、ゆっくりと西の山に姿を隠しはじめた。

 遠くの空で、鳥の親子が鳴きながら山へ帰って行く。

 結局、家族全員分の花冠を作ったアルルゥは、疲れ果てカルラの膝を枕に安らかな寝息を立てている。時折耳をくすぐるカルラの指に、ぴくぴくと耳と尻尾を動かしているが、昼間ほど元気には揺れていない。

「出来た!」

 突然の歓声にアルルゥは目を覚ます。

「アルルゥ殿、出来ました!!」

 何度も作り直した中でやっと出来た、なんとか花冠に見える物をアルルゥの目の前に差し出す。
 まだ眠たそうに目をこすっているアルルゥは、差し出された花冠とトウカの顔を見比べた。

「…………」

「……アルルゥ殿?」

 お世辞にも綺麗とは言えない花冠は、最初に自分が作ったものよりも不格好。それでも、トウカの花の汁で緑色に染まった指先や、土で薄汚れた顔を見ていると……『ゴミ』と言われた事も、花冠を壊されてしまった事も、すべてどうでも良く思えてきた。

「…………不格好」

 これは、素直な感想。
 ほんの少しだけ、仕返しの意味もあるかもしれないが。

「でも、アルルゥ、これがいい。トウカお姉ちゃんが作ってくれた、アルルゥのかんむり」

 アルルゥの言葉に、トウカはほっと息を吐く。
 これでやっと仲直りできた、と。

「ん」っと頭を出すアルルゥに、トウカは瞬き、うやうやしく花冠をのせる。
 微かに加わった頭の重みを確かめるように、そっと花冠に触れるアルルゥ。

「トウカお姉ちゃんの分」

 アルルゥは家族分の花冠の中から、2番目に綺麗に編まれた物を取り、トウカの頭にのせる。

「某にも、ですか? ありがとうございます」

「ん、1番綺麗なのはおと~さんにあげる」

 だからこれは2番目に綺麗な物だ、とアルルゥはトウカに微笑んだ。
作品名:小さな花~白詰草~ 作家名:なしえ