【東方】東方遊神記4
「えっ・・・どうされたのじゃ?諏訪子殿」
青蛙神は何が起こっているか分からないといった感じで諏訪子に顔を向けた。そんな彼女に諏訪子は突然凄まじいスピードで襲いかかり、彼女を組み伏して馬乗りになり、首に手をかけた。あまりの展開に全員が呆気にとられている。
「依代に使ったというのは、もう私の帽子はお前の体の中で、戻ってこないということか?あれは私が建御名方神(タケミナカタノカミ・神奈子の顕界での神名)と出会う遥か昔から苦楽を共にした大切なミシャグジ。それがお前の中に取り込まれたのなら、私はお前を殺してでもそれを奪い返すことになる」
普段の諏訪子からは想像もできない様な、どす黒い声が、部屋全体に反響している。そう言うと諏訪子は首にかけた手に力を込めた。いつもの諏訪子のイメージは一切消え去り、そこには最高位の神がいた。怒りで我を忘れているのか、神力が溢れ、猛り狂っている。守屋神社には居住スペースを含め神奈子・諏訪子の合わせ技による強力な結界が張ってあるので、大して影響はないが、山全体が諏訪子の神力の影響をモロに受けて、激しく鳴動している。その瞬間、妖怪の山に住む天狗を除く全ての鳥や鳥妖が逃るように飛び去って行った。
「さぁ、どうなんだ!!青蛙神!!」
諏訪子はいよいよ青蛙神の首にかけている手の力を強めていった。普段は可愛らしいクリクリした瞳が、今は獰猛な肉食獣が尻尾を巻いて逃げだすのを、追いすがって食い殺してしまいそうなほどの、凶気と本能に満ちた瞳に変貌してしまっている。そして黒いオーラは大きな蛇の頭を模(かたど)り、その蛇が今にも青蛙神にその大顎でもって喰らい付こうとしているのが見て取れた。
「諏訪子!!」
「諏訪子様!!」
我に帰った神奈子達は必死に諏訪子をなだめようとするが、全く反応がない。
「だっ・・・大丈夫ですっ!!、私はっ・・・存在力が低い間っ・・・一時的に諏訪子殿の帽子をお借りしているっ、だけでっ、存在力が高まればっ・・・ちゃんとお返しできますっ!!」
青蛙神は首を絞められたまま、途切れ途切れになりながらも必死に答えた。
「本当だな?」
「はいっ・・・!!」
この青蛙神の返事にはもはや泣きが入っていた。
「なぁ~~んだぁ~~ビックリした~~」
帽子がちゃんと戻ってくることがわかると、諏訪子はそれこそプシューと音が聴こえてきそうな感じに一気に力を抜き、まさにケロッと表情をいつもの可愛らしいものに戻した。「いやぁ~焦ったよ~。もし僕の帽子が戻ってこなかったらどうしようかと思ったよ。でも、ちゃんと戻ってくるのなら何も問題はないよ。青ちゃんはそのまま依代としてそれを使っていてくれてかまわないから」
さっきまでとの差がとんでもないことになっている。
「はい・・・ありがとうございます・・・」
青蛙神は腰が抜けたようにその場にヘタッと座り込み、諏訪子に掴まれた首を押さえながらガタガタと震えている。自分が持つ能力の特性上、彼女は害されることには大抵恐怖を感じないが今回は話が別だった。心の底から恐怖した。今も涙が止まらない。震えもいっこうに治まらない。
「あぁ~~ごめんごめん、怖がらせて。もう怖いことは絶対しないから、お願いだから泣きやんで、ね」
必死に青蛙神をあやしている諏訪子を、神奈子と早苗は最大級の衝撃を持って見ていた。「あれは・・・本当に諏訪子様なのですか?」
「あたしも・・・あんな諏訪子を見たのは初めてかもしれないよ」
初めて会ったあの対決の時だって、今みたいな感情剥き出しな感じではなかった。対決の後、諏訪子に束ねられていたミシャグジの殆どは神奈子の下についたが、諏訪子の帽子に宿っているミシャグジだけは頑なに神奈子の下につくことを拒んだ。おそらく、数多くいたミシャグジの中でも特に絆の深い相手だったのだろう。力のあるミシャグジは主に白蛇の姿をとることが多い。蛇は蛙の天敵であり、蛙は蛇の捕食対象である。そういったことを超越したものだったのか。
「まぁ・・・でも、諏訪子があたし達の家族であることに変わりはないよ。今回は新しい一面が見られたってことで」
「そっ・・・そうですね」
そう神奈子に返事した早苗は笑顔が引きつっていた。心なしか、少し体が震えている。「んっ?どうした?諏訪子が怖くなったかい?」
「いっいえっ、そんなことは・・・」
「・・・早苗は、諏訪子の事が好きかい?」
「もちろんです!!」
そこは自信を持ってはっきり答えた。神奈子は優しくふっと微笑むと、さも当然といったように言った。
「あたしも諏訪子のことは大好きだ。それに、諏訪子もあたし達のことが大好きなはずだ。だから、あたし達の間で傷つけあうことなんて、絶対にありえない。ちょっと論点がずれているかもしれないけど」
「そう・・・ですね」
神奈子の言葉に、落ち着きを取り戻したのか、早苗の体の震えは治まった。
「神様が言ってるんだから、間違いないよ」
「まぁ、ふふっ」
青蛙神は何が起こっているか分からないといった感じで諏訪子に顔を向けた。そんな彼女に諏訪子は突然凄まじいスピードで襲いかかり、彼女を組み伏して馬乗りになり、首に手をかけた。あまりの展開に全員が呆気にとられている。
「依代に使ったというのは、もう私の帽子はお前の体の中で、戻ってこないということか?あれは私が建御名方神(タケミナカタノカミ・神奈子の顕界での神名)と出会う遥か昔から苦楽を共にした大切なミシャグジ。それがお前の中に取り込まれたのなら、私はお前を殺してでもそれを奪い返すことになる」
普段の諏訪子からは想像もできない様な、どす黒い声が、部屋全体に反響している。そう言うと諏訪子は首にかけた手に力を込めた。いつもの諏訪子のイメージは一切消え去り、そこには最高位の神がいた。怒りで我を忘れているのか、神力が溢れ、猛り狂っている。守屋神社には居住スペースを含め神奈子・諏訪子の合わせ技による強力な結界が張ってあるので、大して影響はないが、山全体が諏訪子の神力の影響をモロに受けて、激しく鳴動している。その瞬間、妖怪の山に住む天狗を除く全ての鳥や鳥妖が逃るように飛び去って行った。
「さぁ、どうなんだ!!青蛙神!!」
諏訪子はいよいよ青蛙神の首にかけている手の力を強めていった。普段は可愛らしいクリクリした瞳が、今は獰猛な肉食獣が尻尾を巻いて逃げだすのを、追いすがって食い殺してしまいそうなほどの、凶気と本能に満ちた瞳に変貌してしまっている。そして黒いオーラは大きな蛇の頭を模(かたど)り、その蛇が今にも青蛙神にその大顎でもって喰らい付こうとしているのが見て取れた。
「諏訪子!!」
「諏訪子様!!」
我に帰った神奈子達は必死に諏訪子をなだめようとするが、全く反応がない。
「だっ・・・大丈夫ですっ!!、私はっ・・・存在力が低い間っ・・・一時的に諏訪子殿の帽子をお借りしているっ、だけでっ、存在力が高まればっ・・・ちゃんとお返しできますっ!!」
青蛙神は首を絞められたまま、途切れ途切れになりながらも必死に答えた。
「本当だな?」
「はいっ・・・!!」
この青蛙神の返事にはもはや泣きが入っていた。
「なぁ~~んだぁ~~ビックリした~~」
帽子がちゃんと戻ってくることがわかると、諏訪子はそれこそプシューと音が聴こえてきそうな感じに一気に力を抜き、まさにケロッと表情をいつもの可愛らしいものに戻した。「いやぁ~焦ったよ~。もし僕の帽子が戻ってこなかったらどうしようかと思ったよ。でも、ちゃんと戻ってくるのなら何も問題はないよ。青ちゃんはそのまま依代としてそれを使っていてくれてかまわないから」
さっきまでとの差がとんでもないことになっている。
「はい・・・ありがとうございます・・・」
青蛙神は腰が抜けたようにその場にヘタッと座り込み、諏訪子に掴まれた首を押さえながらガタガタと震えている。自分が持つ能力の特性上、彼女は害されることには大抵恐怖を感じないが今回は話が別だった。心の底から恐怖した。今も涙が止まらない。震えもいっこうに治まらない。
「あぁ~~ごめんごめん、怖がらせて。もう怖いことは絶対しないから、お願いだから泣きやんで、ね」
必死に青蛙神をあやしている諏訪子を、神奈子と早苗は最大級の衝撃を持って見ていた。「あれは・・・本当に諏訪子様なのですか?」
「あたしも・・・あんな諏訪子を見たのは初めてかもしれないよ」
初めて会ったあの対決の時だって、今みたいな感情剥き出しな感じではなかった。対決の後、諏訪子に束ねられていたミシャグジの殆どは神奈子の下についたが、諏訪子の帽子に宿っているミシャグジだけは頑なに神奈子の下につくことを拒んだ。おそらく、数多くいたミシャグジの中でも特に絆の深い相手だったのだろう。力のあるミシャグジは主に白蛇の姿をとることが多い。蛇は蛙の天敵であり、蛙は蛇の捕食対象である。そういったことを超越したものだったのか。
「まぁ・・・でも、諏訪子があたし達の家族であることに変わりはないよ。今回は新しい一面が見られたってことで」
「そっ・・・そうですね」
そう神奈子に返事した早苗は笑顔が引きつっていた。心なしか、少し体が震えている。「んっ?どうした?諏訪子が怖くなったかい?」
「いっいえっ、そんなことは・・・」
「・・・早苗は、諏訪子の事が好きかい?」
「もちろんです!!」
そこは自信を持ってはっきり答えた。神奈子は優しくふっと微笑むと、さも当然といったように言った。
「あたしも諏訪子のことは大好きだ。それに、諏訪子もあたし達のことが大好きなはずだ。だから、あたし達の間で傷つけあうことなんて、絶対にありえない。ちょっと論点がずれているかもしれないけど」
「そう・・・ですね」
神奈子の言葉に、落ち着きを取り戻したのか、早苗の体の震えは治まった。
「神様が言ってるんだから、間違いないよ」
「まぁ、ふふっ」
作品名:【東方】東方遊神記4 作家名:マルナ・シアス