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マルナ・シアス
マルナ・シアス
novelistID. 17019
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【東方】東方遊神記4

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「じゃああたしは各訪問先に出す書状を書くから、早苗はその間手土産の準備をしておいて。内容は諏訪子特製のお酒とあたしのお粥。それ以外は任せるわ」
これは幻想郷の諏訪子の知り合い(友人は別)はもちろん、顕界にいた当時の祝部(早苗は別)にも知られていないことなんだが、諏訪子は可愛い顔をして無類の酒好きであり、自らも造酒を行っているのである。このお酒は神奈子も大好きで、最近では早苗の二十歳の誕生日に早苗と一緒に飲んで、主役を差し置いてがぶ飲みし、見事に酔い潰れている。酒に酔い潰れる神というのもなんとも・・・。
「わかりました。それじゃ神奈子様、穣子様の千年幻倉(せんねんげんそう)までの道筋を教えてくれませんか」
千年幻倉というのは、妖怪の山を主な拠点とする秋の象徴、秋姉妹の妹で、豊穣を司る神、『秋 穣子(あき みのりこ)』が己の神力でもって作った不思議な倉庫である。この中にはそれぞれ保存の仕方が異なる秋の果物や穀物、そして魚介類がギッシリ詰め込まれており、尚且つそれぞれが最高の鮮度を保ったまま、ずっと腐らずに入っているのである。この倉庫の場所さえ知っていれば、一年中秋の味覚が食べ放題というわけだ。ただし、秋の味覚だけだが(笑)。
ただ、この千年幻倉は穣子から直接倉庫までの地図を受け取った者しか見つけることが出来ない。しかも、その地図も受け取った者以外が見ても何も書いていないただの紙にしか見えないのだ。さらに、何のためなのか、この地図は一旦閉じてまた開くと、最初の道筋とは全く別の道筋になっているのである。神奈子曰く、目的地も違ってくるらしい。つまり、倉庫自体も動いているということか。因みにこれは、まだ神奈子達が幻想郷に来たばかりの頃、元々いた神様たちへの挨拶回りの際秋姉妹に手土産として渡したお酒とお粥のお返しとして貰ったものだ。お返しとしてはかなり行き過ぎているが、穣子が言うには、秋という季節がいかに素晴らしいか再確認してほしいということだった。あくまで【再確認】を強調していた。
「あぁ、それは良い考えだね。ちょっと待ってて、すぐに書き写すから」
そう言うと、神奈子は紙と筆と例の地図をどこからともなく出し、もの凄い速さでそれを書き写した。
「はいこれ。今回はちょっと遠いから気をつけるんだよ。そうだ、青、諏訪子、早苗を手伝ってやってよ」
「はぁ~い」
「はいっ」
「じゃあ、準備してから出発しましょう」
守矢神社がにわかに騒がしくなってきた。