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彼女は彼に凱旋歌を歌い続ける

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九十九屋真一『そろそろ池袋に帰って来たらどうだい』
九十九屋真一『君の居場所を知りたい、って皆が騒いでる』
竜ヶ峰帝人『半分は報復目的でしょう、僕に死ねと?』
九十九屋真一『そんなことはないさ。君がいなくて寂しい、そんな雰囲気だ』
竜ヶ峰帝人『そこまで大それた人物になった覚えはありませんよ』
九十九屋真一『いやいや、あの時の君は観衆の注目を独占してた』
九十九屋真一『池袋という街の全てが君に頭を垂れた、そんな印象さえ受けたよ』
竜ヶ峰帝人『だからそんなんじゃないですって』
竜ヶ峰帝人『裏側から動いて知る限りの事象を出来る限りくっつけただけですよ』
九十九屋真一『誰よりも裏をかいた、その立ち回りが素晴らしかった』
九十九屋真一『あれだけのことをする覚悟がある人間に敬意を表して言ってるんだ』
竜ヶ峰帝人『継ぎ接ぎだらけで随分と不恰好な結果でしたけど』
九十九屋真一『傷はある程度、自然治癒するのが望ましいと思う』
九十九屋真一『意思の介入すら出来ない、有無を言わさぬ完全無欠の結果より』
九十九屋真一『個々が微調整出来るあの結末を、俺はとても気に入ってるんだがな』
竜ヶ峰帝人『もう少し巧く立ち回れたんじゃないか、という考えが尽きませんよ』
九十九屋真一『出来る限り、だったんだろう? なら結末は変わらないさ』
竜ヶ峰帝人『そうかもしれません、けど……』
九十九屋真一『最良の結果、とは個人の解釈の差だよ』
九十九屋真一『何なら君の選択が大して間違ってないことをその目で確かめると良い』
九十九屋真一『敵も味方も、皆が池袋で君の帰りを心待ちにしてる』
竜ヶ峰帝人『その敵に空港で待ち伏せされたら池袋どころじゃないですよ』
九十九屋真一『君には恵まれた味方がいるじゃないか、ダラーズという駒も』
竜ヶ峰帝人『そのダラーズでの立場が世間にばれてから碌なことがなくて』
九十九屋真一『なら余計に、意趣返しも兼ねて帰郷すれば良い』
九十九屋真一『君だってあの頃のままじゃない。そのための変化だった筈だ』
竜ヶ峰帝人『……考えておきます』

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