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黒鳥 キョウ
黒鳥 キョウ
novelistID. 12283
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貴方はだれの、王子様?

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「いい加減あきらめろよ、ババアども。」

ツインテールの、一見かわいらしく見える少女は容姿にそぐわない言葉を平然と吐いた。
言われた美女二人は米神に青筋を立てる。




今日も今日とて相変わらずな池袋は自販機が宙を舞っていた。
何のことは無い。

折原臨夜と平和島静香の恒例の戦争だ。
ただ、戦う理由が近年変わってきた。

一人の少年を巡って争いあっているのだ。

所謂、修羅場ってやつである。

「池袋にくるなっつたよなあ、臨夜ぉ。私の言ったことが理解できてねぇみたいだな、あぁ!?」
「はあ?理解できるわけ無いでしょぉ!?生憎だけど、あたし、人間語しか理解できないのよ!!バケモノの言葉なんかわかんないもん!!」
「んだと、ごらああああぁぁぁあぁぁあ゛あ゛あ゛っっ!!」

吼える金髪美人と、嘲笑う黒髪の美人。
どちらも黙っていればはっとするような美女なのに、性格や気性が残念すぎて女として見られない。
そういう雰囲気になっても、最終的にこの最大の欠点が災いして恋人できない暦=年齢である。
静香はずっとそうだし、臨夜は弄んでぽいと男を捨ててしまう。

そんな二人が好きになったのが、竜ヶ峰帝人という男子高校生。

少年にしては小柄で華奢、童顔ゆえに男臭さとはほぼ無縁な彼は、普通にしてればその辺にいそうなただの高校生だ。
しかし、彼は普通ではなかった。
好奇心旺盛で"非日常的なモノ"に対する愛情が半端ないとか、実はダラーズの創始者とか。
そういうのではなく、静香も臨夜も女性として扱えるジェントルマンなところや、以外に肝の据わった漢前ってところ、である。

二人のハートを無意識に射止めた彼は、望んだ訳でもないのに二人からの決して無事では済まない異常な愛を捧げられている。

「第一、あたしはあんたに会いに来た訳じゃないの、わかるぅ?愛しの愛しの帝人くんに会いにきたの!!」
「させないって言ってるだろ!!あいつに近寄るんじゃねぇよ!!」
「はああぁ!?なあんでシズちゃんに指図されなきゃなんないの!?マジうっざい!!死ねよ、怪力女!!」
「黙れ、てめえが死ねよ!!ノミ蟲ぃぃぃっ!!」

早速、二人の周りどころか、辺り一体には人一人いない有様。
今日も二人の戦争がこのまま行われると思っていた。
そこに。

「いい加減あきらめろよ、ババアども。」

この台詞が轟いたのだ。



青筋立てた美女二人は少女を睨み付けた。
ツインテールの美少女は「はん!」と肩をすくめながら嘲笑した。

「黒沼青葉・・・なに?あんた喧嘩売ってんの?」
「ババア・・・私はまだそんな年じゃねえよ!!目ぇ腐ってんのか、あ゛あ゛!?」
「はっ!!ババアにババアって言って何が悪いわけ?わたしは現実教えに来てやっただけだね。」

「親切でしょ?」という青葉には静香が「頼んでねえよ。」と苛々しながら答える。

「大体さあ、8歳も年下の男の子に詰め寄るなんて、あんたら何?ショタコン?犯罪じゃないの。」
「馬鹿じゃないの?愛に年の差なんか関係ないね!!そっちこそすっこんでなよ、餓鬼。」

静香が密やかに気にしている年齢差を突いてくる青葉には、同い年の臨夜が反論する。
気に食わないが、その通りと静香も青葉を睨む。

「じゃあ、相手にされると思ってるの?」

くっと見下した笑みを浮かべて、青葉は静香を見た。
静香を上から下まで眺め、嘲りを更に濃くした。

「・・・なんだよ。」
「いいえ?無駄にでかい図体だと思ってさぁ。」

グサ!!
っと突き刺さる何かを静香は感じた。
それは最大のコンプレックスだからだ。

「帝人先輩より背も足も手もでかいよね、あんた。胸は大きいけど、それ以外も無駄にでかいんじゃ、先輩・・・嫌がるよ。」
「っ!!」

息を呑む静香に青葉はニタリと笑う。
静香はぎり、と唇を噛む。

「だぁって、そうでしょ?自分よりでかい女なんか男は嫌がるよ。その点、わたしは先輩より小柄で華奢で、背も小さい。」
「・・・・・。」
「お似合いでしょぉ?よく、一緒に歩くとね、彼女に見えるみたいで、校内とかでも『黒沼さんは彼氏がいていいね。』って言われたり、外でも『カップルですか?』って言われたりするんですよ!!」
「・・・まれ。」
「それで、先輩ったら照れちゃって真っ赤になっちゃうの!!可愛いんだから!!」
「黙れ!!」
「そんなこと言われたことあります?無いでしょ!!無いんでしょ!!」
「黙れ黙れ黙れ黙れぇぇええっ!!」

静香が帝人と一緒に歩いても、そんな風に言われた試しは一度だって無い。
精々良くても、『ご姉弟ですか?』だ。
帝人がそんな風に照れて真っ赤になるなんて、見たことが無い。
いつだって、穏やかに微笑み静香をリードしてくれる。
男として振舞うけれど、ただそれだけ。
だって、セルティが相手でも、杏里が相手でも、狩沢が相手でも、あの臨夜が相手でもそうだ。
紳士的な振る舞いであって、礼儀であり、男としての義務。
そこに友愛はあっても恋愛は無い。
だから、新羅はセルティと帝人が並んでいても嫉妬などしないし、怒ったりしない。
必要が無いから。

つまり、真実「女」としては見てもらえない。
そういうことなのだ。

「みっともない。」
「っ!」

青葉が嘲笑する。
静香は知らないうちに泣いていた。

悔しくて、羨ましくて。
憎くて。

青葉に嫉妬したのだ。
そして、嫉妬した自分が酷く浅ましくてみっともなかった。
それを見破られて、静香は沈黙した。