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黒鳥 キョウ
黒鳥 キョウ
novelistID. 12283
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貴方はだれの、王子様?

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まだ日が高いというのに人通りの皆無な大通りに、静香と臨夜は立ち尽くしていた。
うちひしがれていた。
いや、打ちのめされたのだ。

「・・・・嫌だ・・・・。」

ぽつり、と臨夜が言う。

「あんな、あんなのに、帝人くんが取られるのなんて・・・あたし、認めない・・・。」

静香が臨夜を見ると、臨夜は泣いていた。
はじめて見る泣き顔に、静香は頷いた。
常であれば罵声の一つ、悪態の一つついただろうけど。
今、お互いに余裕なんか無かった。

「あたし・・・シズちゃんがちょっとだけ羨ましかった。帝人くんに女の子っぽいって、可愛いって思われてるの知ってたから。」
「、・・・・・・・・。」

臨夜が静香に告げる。
本当は絶対に教えたくなかった、臨夜が知っている帝人の中の静香を。
静香がいかに頑丈でも、危ない仕事についているのを帝人がとても心配しているのを臨夜は知っていた。
それを聞いたとき、臨夜は泣きたくなった。
羨ましくて羨ましくて、堪らなかった。

「私も・・・。」
「・・・?」
「私も、臨夜が羨ましかった・・・。本当は無邪気で純粋で可愛いって竜ヶ峰に思われてるの、知ってたから。」

聞いたとき、酷く嫉妬した。
帝人は続けて「あんな危ない仕事、本当はして欲しくないんですよね。臨夜さんは女性なんだから。」と言っていた。
それにだって嫉妬した。
妬ましくて妬ましくて、堪らなかった。

帝人は臨夜を汚い大人だとは思っているのだろうが、汚らわしい女だとは思っていない。
静香は断言できる。
その事実だって、本当は妬ましい。

「あたし、諦めないから。帝人くんのこと。絶対に。」

あんたにも、あいつにも、渡さない。
臨夜が真摯に告げる。
宣戦布告のように。
こんなに、真剣で嘘の無い臨夜ははじめて見た。

だから、静香もかえす。

「私だって、諦めたりしない。竜ヶ峰が、好きだから。」

お前にも、あいつにも、渡したりしない。
静香は本心で告げる。
負けたくないから。
諦められないから。

二人の女は、はじめて女として向き合えた。

そして、負けないと宣言した。

互いにも、あの"女"にも。






◆後書き◆
青葉の一人勝ちっぽいなあ・・・。
女体化すると、ちょっとメンタル面的にか弱さが出ます。
野郎のときはもっと言い返します。
臨夜は実は純情で乙女・・・臨也でも純情で乙メンで書くと思います。
ラヴって言いながら、いざ本命にはあたふたして何もできないのもいいと思う。
しかし、弱くなってしまった・・・。

帝人くんはあんまりにもおいたの過ぎる青葉にお仕置きしたの後悔してるよ、多分・・・。
しかし、傷物にしちゃったので、責任取る気満々。
そうなる以上、優しく愛して、お姫様のように大切にして、宝物のように扱います。
・・・・・・・・怖っ!!
でも、あくまで青帝なんです。