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合食禁

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僕が卒業するまで隠そうかっていう案もあったらしいんで国に報告をまだしていないんですけど、やっぱり今度のシーズンの前に爵位を相続することになりました。
相続税のおかげで僕が持ってるモーターの会社、ひとつ手放さなきゃならなくなっちゃいましたよ。
研究費いっぱいつぎ込んだのに。」
ぶちぶち言えば彼はクスクスと笑った。
「気に入ったよ、ロイド。お前こそ見込みがある。」
爵位を継ぐための相続税はとても莫大だ。
だから大半は、成人し、事業を行い、それを成功させて継ぐ。
だが予想より早く爵位が浮いた場合や、相続人が若年の場合は、被相続人が死んだ後に生前分与の手配をこっそり終わらせ、それから葬式を行うことが多い。
その方が事業や貨幣の相続税が安く済むし、事前に継承したその相続金で今度は爵位の相続税を払うことができるからだ。
はっきり言って違法だが、暗黙に了承されている。
それは賄賂だったり権力にだったりするが。
ロイドはそれを必要とせず、純粋に自分が持っている趣味と実益の会社で相続税を支払う。
気骨のあることで何よりだとでも思われたようだ。
「私の元で仕えないか?」
「・・・貴族はもとより、全ての皇族に仕える存在ですよ。」
「いい答えだ。なら、私とともに道を歩もう。」
「Yes,Your highness.」
やれやれ、という気持ちは眼鏡に隠して、この皇子様に頭を下げる。
遅かれ早かれ、同年の同じ学校ということでこんな関係になることは可也の確率で予想されていたことだ。
「・・・私には別に相応しい応えがあると思わないか?」
「なら、それ言っても不敬罪にならないようにさっさと目的達成してくださいね。」
「勿論だよ、次期伯爵?」
「・・・かわいくないなぁ。」
僕が次期ナントカ、なんて言えない立場なのを利用しての軽口。
それもやっぱり、僕がまだ全部暗記できてない貴族名簿全部暗記してるだろ、っていう可愛げのなさ。
それら全てにむくれると彼は、皇子様らしくなく大笑いした。

さて、それはそれとして。
「皇位継承権を放棄したチェスが得意な黒髪の皇子」ことマリアンヌが一子、ルルーシュに興味を持ったロイドが、なんとか写真を手に入れるのはまた後日のことである。

作品名:合食禁 作家名:八十草子