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IとMの攻防

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敵に塩を送っているのはわかる。けれど手順を踏んで、この人に陥落するのならそれもまた良・・・くわないけど。
それでもこの人が将来別の誰かを好きになった時今のような失敗をしないように、僕が教えてあげよう。先生としては未熟だけど。

とりあえず
「交換日記から始めましょうか?」

僕の言葉に臨也さんはふ、と噴き出して、何それと笑った。

「俺、帝人くんには一生敵わない気がする。」
臨也さんは僕の腕を解きながら何処か安心したようにそう言う。
止めてくれ、一生だなんてそんな不吉なこと。僕が一生臨也さんの側にいるみたいで。
「あ、そうだ。帝人くん、キスだけさせて?」
言うが早いか、臨也さんが僕に顔を近づける。
ばっ、と僕は臨也さんの口を覆った。危ない!油断も隙も無い、この人。
「ん、ねぇキスだけだよ。」
臨也さんの手が僕の手をどけようとする。
僕は首を振りながら、抗議した。
「キスはステップ5の段階です!」
「そんなに待てないよ。」

ギリギリと近づく僕たちの距離。押し返す僕も必死だ。

そう、僕たちの攻防は今始まったばかりだ。どちらが勝つかなんてきっと誰もわからない。
作品名:IとMの攻防 作家名:阿古屋珠