確信犯
その瞬間、私の理性はブチンとキレた。つまりエドワードを床に押し倒して、無理やりに抑えつけ、その唇を貪った。
逃げられないようにと強く抱きしめながら、何度も何度もキスをする。唇だけにではなく、頬に眼尻に額へと何度も何度も落としていく。その度にごとに少しずつ身体を絡ませ、熱をあげて。「ん……」と零された吐息の隙を突いて、するりと舌先を忍ばせる。唇の裏の粘膜を探るように侵入を開始して、そうして歯列を割って彼の温かな舌を絡め取る。
いきなり豹変した私にエドワードは驚いているのか、それとも目の前の現実が理解できていないだけなのか抵抗らしい抵抗も見せてこない。
この隙に……と私は甘いキスを繰り返し、更に身体を絡ませる。ぴくりと身じろぎをする柔らかな肌を吸い赤い鬱血を残してやる。太腿に手を伸ばし、きわどい場所まで擦っていく。
その後、私が無抵抗の彼にどうしたのかは具体的には述べられないが。まあ、そのなんだ。めくるめく大人の世界へのご招待とだけ言っておこう。犯罪者と罵られても構わない。無意識に私を誘う君が悪い。一時の劣情などではなく、君を欲しているのは私の本心。君の一生に責任を持つつもりでいるから許してほしい。ああ、そうだ。大切にする。誠心誠意尽くしてもいい。だから、君に無体なことをする私をどうか受け入れていって欲しい。
殊勝にもそんなふうに思っていたのだが……。
だがしかし、コトの最中に一度だけ。見てしまったのだ、勝ち誇ったような笑顔のエドワードを。
……ということはなんだ?つまり、身体を張った策略に見事はまってしまった私の負け、ということになるのだろうか?
真相を明らかにするのは後にして、取りあえずは愛しいエドワードの身体を堪能することだけに私は意識集中させる。思惑はどうであれ、キスの度に深く深く結び付いていくこの身体を更に淫らに泣かせることが目下の最重要使命であるのだから。
- 終 -