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好物=甘いもの2

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「いくらなんでも、さすがにこれは買い込みすぎたんじゃないかい?」

山と積まれた食材を前に岸谷新羅は、生涯の愛しの妖精セルティ・ストゥルルソンを振り返った。
『そうか?鍋というからには具材はこれくらい必要だとレシピにあったんだが』
とセルティはPADを差し出す。

たしかに大人数で鍋を囲む予定というのため、多くの食材が丸ごと並んでいる。
ネギは泥が付いた束のまま、白菜にいたっては丸ごと2つも残っている。

見事な手際で下準備をしていた女性陣も、ハラペコ男性陣が出来上がるのを今か今かと待ちきれない様子だったため、ひとまず鍋に入る分だけ先に調理してしまった。

そうこうするうちにしてお鍋の第一陣ができあがり、
第一の戦力であった張間美香は、矢霧誠二の世話を始めてしまい、もうあの場所を離れないだろう。

「あ、僕も手伝いますよ!」

季節外れの鍋の陣はまだまだ始まったばかり。
今まではお皿や、箸などを並べていた帝人も台所作業に名乗りを上げた。
凝った料理などは作れないが、鍋ならば野菜を切るだけだ、自分にもできる。

ざくざくざくざく
ざくざくざくざく

この際、切り口や形なんか気にしない。
食べやすい大きさなら大丈夫だろう。

「はいっ、みなさん鍋の具を取れるだけ取ってくださいね~、野菜投入しますよー」
「おっ竜ヶ峰、サンキュー」

さささっと具がすくわれたなべに切った野菜をザーッと投入。
少し煮詰まって来てしまっていたので、水を足して土鍋のふたを閉じた。

あっという間になくなる具に、急きょガス台に鍋を用意して、味噌スープ(?)で野菜を目一杯煮ている。これだけ予備があればしばらくは大丈夫だろう。

「ふーっ。そろそろひと段落ついたかな…?」
「竜ヶ峰君、次は私がやりますから休んでてください。ていうか、あんまり食べてなくないですか?」
「え、と、うん。実は…」

実は、最初にちょっとつまんだだけっで、全然食べれていない。
杏里からの言葉に、帝人はありがたく休憩することにした。
お腹がぺこぺこだ。

ちょっとお手伝いするつもりだったのに、けっこう本気でおさんどんしてしまった。

でも、この時間差のおかげで
僕は憧れのあの人とお近づきになれたんだ。



作品名:好物=甘いもの2 作家名:しば